平成元年度 宣言

外国人の就労と人権

 わが国で就労する外国人は,近年,増加の一途をたどっているが,わが国を取りまく国際経済の動向は,今後とも外国人労働者の流入と増加を必至とする現状にある。
 ところが,これら外国人労働者,とりわけ適法な就労資格を持たずに稼働している外国人の多くは,劣悪な生活環境,労働条件の下で,重大かつ深刻な人権侵害を受けながら,有効な救済が得られずに放置され,あるいは,被害が回復されないまま国外に退去強制させられるなど,極めて憂慮すべき実情におかれている。
 基本的人権の保障と人種等による差別の禁止を謳ったわが国憲法の下で,何人であろうと,その人権が侵害され,放置されることは,許されるものではない。
 人権が内外国人を問わずすべての人間に平等に保障されるべきであり,差別があってはならないことは,もはや国際法上の原則となっている。わが国としても,このような国際社会の常識をふまえ,外国人の人権保障に関する各条約を早期に批准して国内法を整備するとともに,合法,非合法を問わず,現に劣悪な状態に置かれたままわが国に滞在する外国人労働者の人権救済を含めた,真に実効性のある人権保障対策をとることが急務である。
 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とするわれわれ弁護士および弁護士会は,これら外国人労働者の人権を擁護するため,人権救済制度の確立とそのための法制度の検討を含め,具体的な諸活動を積極的に展開することをここに決意するものである。
右宣言する。
平成元年9月30日
関東弁護士会連合会