平成2年度 決議

決議(1)
水源地の自然環境保護に関する決議


 水はあらゆる生命の根源である。清らかで豊かな水の存在は,人間のみならず全ての生物の存在の第1条件である。しかしながら,近年,水資源がその量及び質の両面において深刻な危機を迎えている。 第1に,ダムや堰の開発はほぼ限界にきている上,ダム湖の汚濁,河川流量の減少と生態系の破壊などの水資源荒廃現象が指摘されている。
 第2に,計画中のものを含め,32万ヘクタールを超えるゴルフ場建設ラッシュとそこで多用される農薬や化学肥料の流出は,水源地域に立地されるものが多いだけに,重大な水源汚染を招く恐れが大きい。
 第3に,都市部では,生活排水や工場排水で汚された水を,河川の中・下流部で再び取水して上水源として利用しなければならないほど水に逼迫しているが,近時,都市河川の中・下流部の水質は一向に改善されておらず,都市化の進行と下水道の普及は河川の渇水化を招いて,水質の悪化を助長している。
 新たな水資源開発が困難な状況にある現在,右の諸問題を深刻に受けとめ,既存の水資源の量的・質的な確保を図らなければ,近い将来,我々には農薬や都市排水に汚れた上水源しか残されていないということになろう。
 したがって,国及び各地方自治体は,早急に水源地の森林資源等自然環境の保護,地下水を含め水源を汚染する恐れのある行為の禁止やゴルフ場等の施設の設置の制限等,水源地域を総合的に保護する法令の整備を行い,中・下流部に排水規制を特段に強化するなど,監視体制も含めて実行性のある施策を検討し,実施できるものからただちに着手するべきである。
 われわれ弁護士及び弁護士会は,これらの問題をさまざまな角度から検討し,国及び各地方自治体等関係機関に提言するなどの諸活動を推進するものである。
 右決議する。
平成2年10月6日
関東弁護士会連合会

決議(2)
「過労死」の未然防止と被災者の家族の救済を求める決議


 今,「過労死」が注目されている。
 勤労者が,職場での過重な労働負担を原因として,脳や心臓の疾患におそわれ突然死亡する。 「過労死」は,きわめて現代的な病理現象であり,日本の驚異的な経済発展の裏にある苛酷な労働条件の証明とも言われている。
 異常な長時間かつ過密労働の中で,不幸にして倒れていった被災者の家族の悲痛な叫びは,労災補償を適用する判決例を集積させてきた。そのため,労災認定基準の見直しがなされはしたが,それとても多くの問題点が指摘されている。
 「過労死」に対する弁護士及び弁護士会の取組みはまだまだ不十分である。
 「過労死」は一面,労働問題であり,労働の健康への影響といった医学問題でもある。しかし,本質的には健康に生きる権利を侵害する人権問題であり,被災者の家族の救済という緊急課題は,適正な行政的救済への監視と司法的救済というまさしく法律問題である。
 われわれ弁護士及び弁護士会は,「過労死」の未然防止と被災者の家族救済のため,様々な角度からこれらの問題を検討し,諸活動を推進する。
 右決議する。
平成2年10月6日
関東弁護士会連合会