平成3年度 宣言

飲み水の危機

 水はあらゆる生命の根源である。清らかで豊かな水の存在は,人間のみならず全ての生物の存在の第1条件である。しかしながら,近年の著しい水汚染の進行は,われわれが毎日摂取する飲料水の汚染にまで及び,生命・健康に深刻な危機をもたらしている。
 第1に,日々大量に排出される産業廃棄物の処分場の多くは,山間部等の水源地域につぎつぎと立地されており,これによって水源汚染が多発している。
 第2に,技術の高度化にともなって,次々に生み出される化学物質による地下水・表流水の汚染は深刻であり,これらの多くは従来の浄水技術では対応できない。
 第3に,都市部では,工場排水や生活排水で汚された水を,河川の中・下流部で再び取水し,これを上水源として利用しなければならないほど水に逼迫しているが,工場排水からの多様な化学物質は下水処理場では除去されず,生活排水も垂れ流しが許されているため,都市の上水源では水質の悪化が顕著である。
 第4に,各地に乱立するゴルフ場からの農薬や化学肥料の流出は,重大な水源汚染を招くにいたっている。
 これらを原因とする水汚染は,今後加速度的に進行し,ますます深刻なものになっていくことは明らかである。今,ただちに水汚染の進行を阻止し,安全な飲料水の確保を図らなければ,われわれ及び後世代は,その生存自体が重大な危機にさらされることになるであろう。
 したがって,われわれは,国及び各地方自治体に対し,早急に次のような対策を講ずることを求めるものである。
1.廃棄物処分場,ゴルフ場等水源を汚染する施設の立地を制限する法令を制定すること。
2.水道水源の汚染をもたらす有害化学物質の製造および使用を制限する法令を制定すること。
3.工場排水・生活排水に対する規制を強化し,その実効性ある監視体制を確立すること。
4.水源地域の開発を規制する法令を制定し,かつ水源地域の森林を保護すること。
 右宣言する。
平成3年(1991年)9月28日
関東弁護士会連合会