平成5年度 宣言

処分場から考えるゴミ危機回避への道

 近年,工場や家庭から日々大量に排出される廃棄物は増加の一途をたどり,その総量はまもなく年間5億トンに達しようとしている。一方廃棄物の処理施設や最終処分場は逼迫し,各地で深刻な環境汚染等の被害をもたらしているため,今後の確保も困難である。このままでは,ごみが山野や都市部にあふれ,深刻な環境破壊や都市機能の麻痺という最悪の事態をも招きかねない危機的状況にある。かかる事態の原因は,
 第1に,根強い経済成長至上主義に基づく大量消費・大量廃棄の社会構造にある。これは,ごみの大量排出を招き,同時に廃棄物政策における事業者責任の徹底を困難にしている。
 第2に,広域的処理と廃棄物処分場に頼る政策が進められている。廃棄物の処理施設,とりわけ最終処分場は,既に適地に乏しく,山間部,特に水源地に立地され,各地で水源汚染を含む深刻な問題を引き起こしている。最終処分場の建設は既に行き詰まりつつあり,これによる環境汚染への対策とこれに頼る政策の転換が求められている。
 第3に,廃棄物を製造・流通段階から削減するという排出源減量・資源の再利用のための政策はほとんどないに等しく,1991年に成立した「再生資源の利用の促進に関する法律」も現実に鉄くずや古紙などのリサイクルの行き詰まりには無力である。
 早急に,大量消費・大量廃棄の社会構造を資源循環型に改め,廃棄物の徹底した減量を目ざし,かつ,広域的処理と廃棄物処分場に頼る政策を転換しなければ,我々の社会は大量の廃棄物によって重大な危機を迎えることになろう。
 したがって,我々は,国及び地方自治体に対し,早急に次のような施策を講ずることを求めるものである。
1.廃棄物の製造・流通・消費・排出の各段階における減量及びリサイクルを徹底するため,製造事業者及び流通事業者の引取り義務等の事業者責任を特段に強化し,かつ,原料税,廃棄物税,デポジット制度等の経済的誘導措置を導入する。
2.廃棄物の自区域内処理の原則を確立し,広域的移動を規制する制度を設ける。
3.廃棄物処分場の建設を促進する政策を転換し,その建設を当面禁止する措置を取り,かつ,将来においても,水源地等においては原則として建設を禁止するとともに,これらの建設については環境保全の見地から厳しい技術基準を定め,建設に当たっての地域住民の同意,建設後の住民等による監視の制度等を整備する。
 右宣言する。
1993年9月29日
関東弁護士会連合会