平成19年度 決議

クレジット被害撲滅のための割賦販売法改正を求める決議

割賦販売法の改正について検討を進めてきた産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は,2007年6月19日付けで中間整理を発表した。
この中間整理は,多発するクレジット被害を防止するために必要な論点を網羅した上,相当程度消費者保護の観点に立った法改正の方向性を示すものといえ,一定の限度で積極的評価をすべきものである。しかしこの中間整理では,近時多発する次々販売被害や,悪徳商法と提携するクレジット被害の撲滅のために不可欠な過剰与信対策・不適正与信対策の在り方等について両論併記に留まっており,明確な方向性が示されていない部分もある。
そこで当連合会は,多発するクレジット被害を撲滅するための抜本的な割賦販売法の改正を求めて,以下のとおり決議する。

1 具体的な過剰与信基準を設けた上,違反した場合の民事効等実効的な規定を導入する こと

2 現行の抗弁対抗規定の効果を既払い金返還義務にまで拡張した共同責任規定を導入す ること

3 割賦要件や指定商品制を撤廃し,割賦販売法の規制対象を拡大すること
2007年(平成19年)9月21日
関 東 弁 護 士 会 連 合 会

提案理由

1. はじめに
 経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は,2007年2月の再開以後,クレジットを規制する割賦販売法の改正について具体的な検討を進めてきたが,これまでの議論をもとに,2007年6月19日付けで中間整理をとりまとめた。
 この中間整理は,多発するクレジット被害を防止するために必要な論点を網羅した上,個品割賦購入あっせんに対する登録制の導入,適正与信義務の法文化等,消費者保護の観点に立った法改正の方向性を示すものといえ,一定の限度で積極的評価をすべきものである。
 しかしこの中間整理では,近時多発する次々販売被害や,悪徳商法と提携するクレジット被害の撲滅のために不可欠な,過剰与信対策・不適正与信対策の在り方等について両論併記に留まっており,未だ明確な方向性が示されていない部分もある。
 以下,残された論点のうち,特に重要と思われる過剰与信対策,不適正与信防止対策,規制対象の拡大の三点について順次検討する。
2. 過剰与信対策について
 現行の割賦販売法第38条は,いわやゆる訓示規定と解されており,ガイドラインレベルにおいてすら具体的な過剰与信基準が定められていないため,現行法上,クレジットの過剰与信規制は事実上存在しないに等しいといえる。
 しかし,数百万円から数千万円ものクレジットを組まされ,生活破綻に追いやられる次々販売被害が全国各地で後を絶たない現状に鑑みると,今回の法改正においては,総量規制等の具体的で明確な過剰与信基準を定めた上,これに違反した場合には民事効,行政罰等のペナルティを課すといった,実効性ある過剰与信防止規定の導入が不可避である。
3. 不適正与信防止対策について
 現行法の抗弁対抗規定(法30条の4)は,販売店との販売契約等が無効・取消・解除となった場合であっても,その後の信販会社からの支払請求を拒否するにとどまり,被害者が信販会社に対して支払ってしまった既払金の返還請求を認めるものではないとされている。しかし,これでは被害者の救済にとって不十分であるし,信販会社が悪質加盟店を調査・管理して,消費者に対し不適正な与信を行なわないよう努力するための動機付けとしても不十分である。悪質商法と結びついたクレジット被害が未だに無くならないのも,このような不完全な法規制に起因するところが大きいと言わざるを得ない。
 したがって十分な被害の回復を実現するとともに,信販会社において不適正与信防止義務を徹底するインセンティブを与えるため,現行の抗弁対抗規定を,既払金の返還にまで拡大した民事効の導入が不可欠である。
 またこの場合,前記のような趣旨を徹底するとともに,無過失責任規定である法30条の4との理論的整合性を保つため,既払金の返還に際し消費者が信販会社の故意・過失を立証する必要のない無過失責任とすべきである。
4. 規制対象の拡大について
 現行法上,割賦販売法上の主な規制は,2月以上3回以上の割賦払についてしか適用が無く(割賦要件),また政令によって指定された商品・権利・役務のみが適用対象とされている(指定商品制)。
 しかし近時,あえて割賦要件を免れるために一回払とするような悪質商法も散見される。また,指定商品制のままでは,いつまでも被害救済が後追い的にならざるをえず,そもそも規制の在り方として不十分であると言わざるを得ない。
 したがって,このような割賦要件は撤廃して,いわゆるマンスリークリア(翌月または翌々月一括払い)方式なども適用対象となるようにすべきであるし,指定商品制についても廃止した上,適用のない商品等を限定列挙するネガティブリスト方式を採用すべきである。
  以上