実践例



栃木県ジュニアロースクール開催要領
平成18年3月14日
栃木県弁護士会法教育委員会
 栃木県弁護士会では,平成17年8月3日,関弁連と共催で夏休みジュニアロースクールを開催した。
 栃木県弁護士会は会員数100余名の比較的小規模の単位会であり,法教育委員会も平成17年4月に発足したばかりであるが,前日弁連副会長の木村謙委員長の主導の下,何とか開催にこぎつけた。
 いまだ法教育委員会のない単位会,委員会はあっても模擬授業等を実施したことのない単位会,とりわけ比較的小規模の単位会にとって,今後模擬授業を行う際の参考になればと思い,今回の模擬授業開催までの経過を記すものである。
 なお,同種の模擬授業を実施する予定の単位会からの申し出があれば,事務的なマニュアルについての資料を提供しますので,関弁連までご連絡ください。
1 模擬授業のイメージ
(1) 対象とする生徒,日程
 中学生を対象とした。理由は,小学生ではロールプレイ的な授業をするのは能力的に困難ではないか,高校生にはもう少し高度な内容(たとえば,模擬裁判など)の授業をするべきではないか,当会の力量では実施が困難ではないか,そうすると横浜弁護士会で実施したように,まずは中学生を対象に行うのが適当との判断による。
 顔見知りのもの同志,たとえばある中学の1クラスの生徒を対象にするのか,名前も顔も知らない者を対象にするのかについても検討したが,学年を区別せず,かつ幅広い地域から公募するのが望ましいこと,何よりも見知らぬ者が違った立場で話し合うというのが現実の社会に近いということから困難を承知で後者とした。
 日程については,一応夏休みということであるが,進学を控えた中学3年生の場合,何かと多忙で他の行事と重複したりすると参加者が激減することになるので,十分に留意すべきである。今回も開催当日他の行事が重なったことが参加人数に影響があったと思われる。
 また,開催時間帯については一定の時間数の確保,生徒の集中力,帰宅時間等を考慮し,ある程度午前の早い時間から開始すべきであろう。
(2) 授業の形式
@  同じ利害を有する者のグループ(役割グループ)と異なる利害を有する者のグループ(住民グループ)を作り,役割グループで作戦会議をした後,住民グループでの討論に臨み,これを繰り返し議論を深める。
 最終的に住民グループにおいて一定のルールを策定する。
A  弁護士の関与の仕方としては,それぞれの役割グループに1,2名の弁護士を配し,助言をすることとするが,極力自主的な議論に任せ,弁護士が誘導することは避け,問題点の指摘にとどめる。但し,あまりにも話がそれる場合には交通整理をする。
 また,住民グループにも上記の弁護士とは別の弁護士を各グループに配する。弁護士の役割はほぼ上記と同様だが,ルール作りの観点から助言をする必要があるので,多少ルール作りに関わったことのある弁護士を配するのが適当であろう。
2 教材の選定
 生徒にとってより身近な問題,なじみやすいテーマを取り上げる。今回は,中都市の宇都宮市ということで「ごみ集積場問題」より「カラオケボックス」のほうがなじみやすいと判断した。
 もちろん,平成17年5月21日に横浜のシンポで取り上げられた模擬授業の出来がすばらしかったことも教材を選んだ大きな動機になっている。各単位会で研究されたい。
3 生徒の募集及び広報
 委員会で別紙のとおり案内状,チラシを作成し,執行部に発送を依頼した。
 今回は,法教育というものを広く県内に広報する意味も踏まえ,生徒は県内全域から募集した。
4 授業の進め方
(1)  今回は,面識のない者同士が初めてグループを組んで話し合いをするということにしたことから,アイスブレーク的なものをやるかどうか検討した。結論的には時間不足が懸念されたため,グループごとに自己紹介をするにとどめたが適宜クイズとか弁護士に対する質問コーナーとかを設けてもよいと思われる。
 また,グループ別の名札等を作って生徒同士あるいは見学者から識別ができるような工夫も必要である。
(2)  前記のとおり,役割グループ,住民グループそれぞれに弁護士が関与するということになると,少なくとも10名程度の弁護士が必要となる。当会程度の規模の弁護士会では人数の確保が困難であるため,関弁連の委員の先生方の協力,援助が不可欠である。
(3)  住民グループで最終的にまとめたルールについては,適宜模造紙等を用いて公表させる。進行役,書記はグループで決めさせる。
5 講評等
 授業終了後,講評は必要であろう。
 今回は,ルール作りについてエンドレスということで他のグループと比較してより優れているとか,この点に問題があるといった指摘までは行かなかったが,よりよいルール作りということではルールの評価(手段の相当性,明確性,平等性,手続の公平性)は不可欠であると思われる。
6 その他
(1) 授業以外の企画
 今回は,昼休みを利用して法律事務所の訪問という企画を組んでみた。日ごろ,弁護士と話す機会のない子どもたちにとっては大変興味深い企画であったように思う。ただし,反省点としては訪問を受け入れる弁護士の対応にすべて任せるのではなく,最低限事務所訪問の趣旨や子どもたちに話す内容については打ち合わせをしておいたほうがよかったと思う。
 なお,今回生徒数は30名で,2人一組で一事務所を訪問させても15名の弁護士の協力が必要となった。この協力弁護士についてもあらかじめ周到な準備が必要である。
(2) 修了証書の授与
 授業終了後,生徒に修了証書を交付した。気分の問題ではあるが,授業を受けたという充実感を味あわせることもそれなりに有益ではなかろうか。また,予算の許す範囲内で記念品(今回は日弁連で作成した憲法の条文を印刷してあるカラーホルダー)を配布した。
(3) 記録
 授業風景については,ビデオ撮影を行い,DVDにまとめた。他会で今後同様の催しをする場合の参考としても用いることが可能である。
(4) 予行演習
 当会では,いわゆるぶっつけ本番で望むのは危険ではないかと考え,ジュニア・ロースクールを開催する前,二度ほど予行演習を試みた。
 いずれも,宇都宮市内の中学校であるが,一方は市立中学,もう一方は附属中学であった。生徒たちが同じクラスの仲間,あるいは顔見知りの者ということで自然にグループ討論に入っていけた。予想以上に,質の高いルールを作っていたという印象である。
 今後,開催を予定している単位会におかれても予行演習がお薦めである。
(5) アンケート調査
 今回参加した生徒及び傍聴者に対しアンケート調査を実施した。今後の反省材料を見つけるという意味でアンケートの集計及び分析は有意義であろう。