実践例

静岡県弁護士会活動報告
(刑事模擬裁判の実施を中心に)

静岡県弁護士会法教育委員会


 静岡県弁護士会の法教育委員会は,34名の委員が所属(平成22年度)する委員会であり,出張授業と「静岡社会科・法教育研究会」への参加を,活動の二本柱と位置づけています。
 今回は,当委員会の活動のうち出張授業に関し,昨秋実施したジュニアロースクールを起点として,報告いたします。

ジュニアロースクールの実施
(1)  平成21年11月28日(土),静岡市の弁護士会館にて,関弁連と共催で,中学生を対象としたジュニアロースクールを開催しました。
 参加者は,中学生15名(3年生12名,2年生3名),保護者3名,弁護士18名(うち他会の関弁連委員8名),修習生3名でした。
(2)  内容は,「DVD強盗傷害事件」(犯人性否認。被害者,アリバイ証人,被告人の尋問)を題材とした刑事模擬裁判でした。
 弁護士が被告人,裁判官,検察官,弁護人及び証人役を担当して尋問の場面の寸劇を行い,それを基に,参加中学生に補充尋問をさせた上で合議体に分かれて評議をさせました。
 各合議体に1〜2名の弁護士を専属させることができたことや,1つの合議体が3〜4名と比較的少人数であったことから,発言数の多い,活発な評議が行われていました。
 なお,補充尋問や評議の時間を多く取りたかったこともあり,刑事事件の原則(証拠裁判主義,無罪推定の原則)については,それを説明するための時間は特に設けず,弁論の中で説明をするに止めました。
 結論は,全ての合議体(4つ)において,無罪となりました。
 最後に,結論に至った理由や感想を参加中学生や保護者から発表してもらい,参加中学生に修了証書の授与を行いました。
その後の展開
 上記ジュニアロースクールの後,当委員会では,以下のとおり,2回の出張授業を行い,今年中に1回の主張授業が予定されています。
  • 平成22年2月26日(金)浜松市立富塚中学校3年生
    13:25〜15:15(5,6限)
    刑事模擬裁判(窃盗被告事件)
    参加弁護士20名(修習生含む。)
    各クラス(34名)ごとに実施。1クラスを弁護士4名で担当。
    生徒を指名して尋問場面を実演させた後,補充尋問及びグループ評議・評議結果発表
  • 平成22年10月6日(水)浜松江之島高校1年生
    13:25〜15:15(5,6限)
    刑事模擬裁判(窃盗被告事件)
    参加弁護士14名
    学年全員(約240名)が体育館に集合して実施。
    弁護士が尋問場面を実演した後,補充尋問及びグループ評議・評議結果発表。
  • 平成22年11月3日(水・祝)静岡大学附属静岡中学希望者
    8:40〜11:55
    刑事模擬裁判(窃盗被告事件)
今後の課題
(1) 運営に関して
広報
 広く募集をしてジュニアロースクールを行う場合,広報(参加者集め)が大きな課題となります。
 上記ジュニアロースクールでも,約1か月前の時点で参加希望者が2名という状況でした。その後,地域情報紙を用いたり,個人的な伝手をたどって学校に生徒への告知を依頼したりといった方法で,何とか,15名の参加者を確保することができました。
 今後,教育界やマスメディアとの連携を図る必要があると思っています。幸い,出張授業の要請が増えつつあり,また,それらの出張授業が新聞等で取り上げられていますので,これらが手がかりになることが期待されます。
対象・人数・実施方法等
 出張授業は,対象学年,人数,時間等に,さまざまな制約が生じます。現在,当委員会では,弁護士が多く参加して,マンパワーでそれらの制約に対応している状況です。
 今後,より多くかつ充実した出張授業を行っていくためには,実施マニュアルも含めた教材の充実が必要だと思っています。
(2) 刑事模擬裁判教材の内容について
 当委員会が実施した刑事模擬裁判においては,9割方の合議体が無罪の結論に至っています。
 「無罪推定の原則」に基づいても結論が分かれうるように,シナリオの細部を作り込む,証拠を補う等して,教材を改変していくことが望ましいと思っています。
(3) 刑事模擬裁判以外への取り組み
 現時点では,当委員会の出張授業は,専ら刑事模擬裁判となっています。
 委員会では,ルール作り,模擬調停,民事模擬尋問等を行いたいとの意見も出されていますが,教材等の体制が整っていないため実施できていません。
 今後,他会におけるジュニアロースクールの実践などを参考にさせていただきながら,刑事模擬裁判以外にも取り組んでいきたいと思っています。

以上