シリーズ3

ニュースキャスター 小宮悦子さん
と き:平成11年9月7日(火)
ところ:東京全日空ホテル・ミーティングルーム
聞き手:青木英憲会報・広報委員
 シリーズ第3回目はニュースキャスターの小宮悦子さんです。
 小宮さんは,1998年9月までテレビ朝日『ニュースステーション』のキャスターとして13年間活躍され,現在は同じくテレビ朝日系列の『スーパーJチャンネル』のメインキャスターをされています。
 ニュースを伝えるジャーナリストとして,女性として,また市民としての立場から,司法や裁判制度につき幅広いご意見をうかがうことができました。
○現在,司法改革ということがいろいろな場で議論されている中で,弁護士などを一定期間経験した法曹の中から裁判官を選ぶという「法曹一元」という問題が議論されていますが,この点はどのようにお考えになりますか。
小宮さん本来はそうあるべきではないでしょうか。裁判官は様々な紛争の最終的な判断を下す人ですから,試験を受かって研修を終えたばかりの人が判断するというのはまずいですよね。常識的に考えてもそのような制度に変えた方がいいと思います。そういうことが今頃議論されているということが,私たちから見ると不思議な気がします。
○現在の裁判制度については,どう思われますか。
小宮さんやはり時間がかかりすぎますよね。番組でもオウム裁判や公害裁判などを取り上げますが,5年,10年かかると聞くと,その間,被害者の方たちはどうなってしまうのだろうと大変気がかりです。公害裁判の原告の方たちが長い裁判の間にどんどん高齢化していくことなどを考えると,裁判に関わっている方たちはこの問題を真剣に考えて欲しいと思います。
○裁判が市民に身近になるという点では,どのようなことをお考えですか。
小宮さんニュースステーションで取り上げたことがあるのですが,法律が変わって,ちょっとしたトラブルだったら比較的簡単ですぐに判決が出るという新しい手続ができましたよね。このような制度がどんどん利用されるようになればいいと思うのですが,利用状況はどうなのでしょうか?
また,裁判費用が高くて裁判ができない,お金がないから泣き寝入りするという人も沢山いるのではないかと思います。日本では法律扶助にかける予算が諸外国に比べて非常に少ないそうですが,現在法律扶助を充実させるという議論がされているというのはいいことだと思います。
○弁護士の数の問題はいかがですか。
小宮さん当番弁護士のお話を聞くと,弁護士の方々は一生懸命やっているようですが,数が少なくてなかなか全部に行き渡らないということも聞きます。弁護士の数を増やして悪いということはないと思います。
ただ,数だけ単純に増やせばいいということではないのでしょうね。
○裁判所や裁判官についてはどうですか。
小宮さん裁判に時間がかかり過ぎず,しかもきちんとした判断ができるようにするためには,裁判官の数も増やさなければいけないのでしょうか。
それから,私自身は関心があって,最高裁の裁判官の国民審査の時はよく考えて×をつけるときもあるのですが,この制度も国民が興味・関心が持てて,もっと有効に機能するようにすべきだと思います。 裁判とか司法というのは国民にとって大事な問題ですから,常に目を光らせていなければならないと思いますし,それができるシステムが必要だと思います。
○このところ「被害者の権利」がマスコミでもよく取り上げられていますが,この点はいかがですか。
小宮さん死刑の問題を考えるとき,その是非とは別に,現在の制度では死刑と無期懲役の間にとても大きな開きがあって,被害者の視点に立つと,この開きを埋めるものが必要だと思います。
また,女性の立場からは,性犯罪の被害者の権利の問題ですね。セカンドレイプの問題は深刻ですし,被害者の立場に立った制度も是非作って欲しいと思います。
○市民の立場から司法をよくするためには何が必要ですか。
小宮さん日本人は残念ながらまだお上意識が強い面があります。また,人権や司法制度は教育の中で殆ど取り上げられていませんよね。だから,そういうことになかなか思いが及ばないし,自分に関係ないという意識が強いと思います。
教育やマスコミが人権や司法についてもっともっと国民に知らしめ,考えてもらう機会を増やすことが必要ですね。
○そういう意味で陪審制は国民に対する教育的効果があると言われていますが,陪審制についてはどう思いますか。
小宮さんアメリカに陪審制が根付いていることと比べると,日本では民主主義とは何かが実はまだよく分かっていないという状況もありますよね。外国に行くと普通の家庭で政治のことが日常的に語られていて,皆自分の意見を持っています。そこまで行くのには時間がかかるかもしれませんが,辛抱強くやっていくしかないのではないでしょうか。
○本日は長時間にわたり貴重なお話を有り難うこざいました。

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