シリーズ19


俳優山村美智さん
  と き:平成13年5月2日(水)
 ところ:高輪プリンスホテル
聞き手:窪木登志子会報広報委員会副委員長
 バラエティ番組に出演し始めたアナウンサーの草分け,山村美智さんは,スマートで知性を感じさせる方です。フジテレビを5年で退職し,以後俳優を続けていらっしゃいます。実は,人を助ける,自己表現ができる,として弁護士志望もあったそうです。
 インタビューは弾み,幼少の時の演劇への開眼から,東京キッドブラザーズとの出会い,アナウンサーそして俳優としてご活躍中のお話,また司法に対する思いなど,楽しくさせていただきました。
○山村さんと言えば,フジテレビの「オレたちひょうきん族」でしょうか。バラエティ番組に出始めた頃のアナウンサーですよね。
山村さんそうですね。実は,フジテレビ入社当時は報道局解説放送室に配属され,研修でも「アナウンサーは報道をやるもの。バラエティなんか。」という空気だったんです。ところが,入社2年目に社内の組織変更があり編成局アナウンス部となり,女子アナ新2年生の中から選ばれて,ひょうきん族が始まりました。でも,TV局のエレベーターで隣になった社員に「かぶりものとか,歌とか,よくやってられるよな。」と言われるような,固い社風が残っていましたけど。
〇つらかったですか?
山村さんそうですね,つらかったかも(笑)。
○ご幼少の頃は,大変な人見知りでおとなしかったとか?
山村さんそうです。幼稚園で白雪姫劇をやることになって,先生が「あ,美智子ちゃんもいたのね。(しょうがないからセリフ一言の)うさぎ役を作ってそれをやりましょう。」って言われて。その時,自分は存在を忘れられているのだろうか,本当はもっと沢山セリフを話したかったんだわ,って,自分で気付いたんですね。それから芝居に興味をもって,中高校生時代は三重県のミッションスクールで演劇部でした。津田塾に入ってからも芝居はよく見に行きました。
○それでも,卒業後は母校の先生になることに決まっていらしたとか?
山村さんええ。それが10月に,当時全盛の東京キッドブラザーズの公演を見に中央線の電車に揺られて行ったんです。電車の窓から『ああ私の人生もこのレールの上を行くようなものだわ。』と思いながら劇場にたどりつき,チケット売り場に並んでいたら,偶然劇団創始者・演出家の東由多加さんが出ていらして,いきなり私のところで止まり,指をさして「君女優になりませんか?」と言われたのです。1,2の3で「はい。」と言ってしまいました(笑)。それで,母校にはお断りをして,12月から劇団の研修生をしていました。母娘一人の母には大反対されて,1年だけならと言われましたけど。
○1年後にはやむを得ず?フジテレビへですか? でも当時の就職は厳しかったですよね。
山村さん ええ。母校からは,戻ってきてもいいよと言ってくれたのですが,俳優に最も近い,まっとうな,社会保険のある職業に就こうと決心しました(笑)。アングラ劇団は,人間を追いつめてその時に出る人間性を表現しようとするので,そのプレッシャーもありましたね。と言っても,TBSもテレ朝も採用がないのに,フジへの履歴書は期限前日に,その日勉強に飽きた数学科大学院生の友人が代わりに準備してくれたというようなもので,ラッキーでした。
○でも結局,ひょうきん族で禁断の実を食べて(笑),アナウンサーは5年で卒業してしまいましたね?
山村さん 芝居が好きなんでしょうね。人間は多面的な者ですし,それを自己表現できるという点などでね。
○ご幼少の頃,弁護士志望もあったとうかがいましたが。
山村さん 3歳で父を亡くしまして,父の会社が倒れたのか母名義の不動産について訴訟が6〜7年続いていたのではないでしょうか。母に連れられて行った裁判所の,におい,音,静かな緊張感といったものを覚えています。それと「ただいま11人」というドラマを見て,検察官に憧れたら,母から「人を助ける弁護士の方がいいのではないかしら。」と言われました。俳優も弁護士も,自己表現という点では共通していますし,いいかな・・と。
○今,弁護士や裁判官,検察官の人数を増加しよう,弁護士の広告を自由にする等できるだけ規制的措置をなくしていこうという動きがあります。ご意見はいかがですか。
山村さん 人数を増やすことに,賛成です。多くなれば,お客さんにとって良い人が残るのではないでしょうか。お医者さんも,患者さんに支持されたところが残っているように思います。先日,ある弁護士さんが,賃料値下げを請求されてどうしたらよいかと困っている相談者に「紹介だから話を聞いてあげているけど,あなたお金持ってるんだから,家賃8万円を6万円に値下げしてくれって言われたら勝てないんだから,相手の言うとおりにしなよ。」とぶっきらぼうに言うのを聞いて,びっくりしたこともあります。
 あと時間がかかりすぎるようにも感じます。これは裁判官の数の問題かもしれませんが。
 なじみがないというのも感じます。広告解禁がうまく働いて,どこにどんな弁護士がいるかがわかればいいですね。
○なるほど。ただ,弁護士や裁判官の人数が増えればそれで市民が納得できるサービスを受けられるようになるかという問題はあります。自由競争の働かない分野,過疎の問題,法律扶助制度の充実,人数が増えれば紛争解決の共通ルールが今ほど保てなくなりますがそれでも市民は公平だと納得できるか,などの問題です。お医者さんの世界もそうですね。
 そこで,弁護士,弁護士会も,より広い情報開示を行って,国民の皆様に,司法の実体や司法改革の内容について関心を持っていただくようにしなければなりませんね。
 本日は,お稽古途中においで戴き,有難うございました。その御公演は?
山村さん 7月11日から22日まで,銀座博品館劇場にて(その前も全国を回ります。),「愛と涙と感動のミュージカル・コメディ,Stepping Out」です。前田美波里さん他はミュージカル出身ですから,私にとってまさにStepping Out!新しいことへの挑戦!です。どうぞ見にいらしてください。
○ 本日はお忙しい中をありがとうございました。

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