シリーズ34


マネックス証券株式会社 代表取締役社長
松本 大さん
と き:平成14年10月24日(木)
ところ:マネックス証券
(千代田区丸の内 パシフィックセンチュリープレイス丸の内19階)
聞き手:内海英博会報・広報委員会委員
松本大さん
  シリーズ第34回目はマネックス証券株式会社、代表取締役社長、松本大さんです。松本さんは87年東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社に入社、その後ゴールドマン・サックス証券東京支店に移り、円金利のデリバティヴビジネスを立ち上げ、94年には、「ウォール街最高の名誉」といわれる同社パートナー(共同経営者)に史上最年少で就任されました。99年に同社を辞して、ソニーと共同出資でマネックス証券を設立し、代表取締役に就任されました。また2001年5月には米経済誌フォーチューンで「次代を担う世界の若手経営者25人」の1人に選ばれました。
○現在の日本の司法についてどのように考えていらっしゃいますか。
松本さん   「この国には本当に司法というものがあるのか、本当に法治国家なのかと大変懸念しています。例えば、最高裁判所は1票の重さが違憲状態にあるとしているのに、国は十分な対応策を実施していません。国が行ったことに対して、民間人や弁護士会等で意識を持って、それはおかしいのではないかという意見を出すことが大事だと思います。地裁に訴えるなどすれば、実際に判断が出なくても皆のアテンションが集まると思いますし、それによって牽制が働くと思うのです。 日本は本来モラルが高い国だと思うので、権力を持っている人も勝手なことをしにくくなると思います。これは、弁護士だけがすることではなくて普通の人がしてもいいと思います。そのためには、弁護士の方が積極的に方法を教えるように努力して欲しいと思います。
  裁判も長いですよね。長いと興味がなくなってしまうんですよね。時間がたつと、周りの状況が違ったものになってしまい、結果が出てもそこから学ぶことはできないと思います。オウムの問題にしてももっと早く結論が出ていればと思うのです。そうできていれば、今回のテロ事件のような時にも、どういう罰の仕方をすべきで、何が問題だったのか、そしてこういう解決策をとったということを、日本という国のひとつの経験として世界に提出することができますよね。結局今はまだ裁判中ですから国というレベルで何も提出することができなかったわけです。裁判というのはその時の価値観で判断するべきで、何年も経って結論を出しても意味がないのです。
  更にいうと、ビジネスを行う上での法律的なルールは、行政指導のようなものではなく、法規として文書に書いて、もっとクリアにして欲しいと思います。こういうものはきちんとクリアにしていかないと、この国全体の競争力が落ちてしまうと思います。つまり、若い人や外国人が日本で新しいビジネスを始めるようとしても、日本の法律はよくわからないからいいや、という風に諦めてしまうんですね。それに対してアメリカはルールがクリアです。ですから、世界中から様々な人々がチャレンジしに来て、ルールの上で挑戦し、勝った人が残っていくのです。国としての競争力を維持できる枠組みを自分達で提供していると思います。
○日本の弁護士がアメリカの弁護士に学ばなければならないところはどこだと思われますか。
松本さん   「一般的にいって、日本の弁護士は、濃淡がないですね。○か×かだけです。アメリカの弁護士にはビジネスの相談ができますね。こういうことをすればよくなるのではないか、リスクが減るのではないか、といったサゼスチョンをもらえます。またアメリカでは、元法曹出身者のビジネスマンが非常に多いですね。そして、いろんな経験を積んで、また法曹に戻っていくということもよくあります。日本では、一般的なイメージとして裁判所というのは、今の世界の社会の価値観を代弁する場所として捉えられていない気がします。日本では、みんな職業裁判官になってしまっているんですね。一気に直すのは無理だとは思いますが、努力する責任があると思います。国民全員にその責任があると思うのです。」
○これからどういうことに御関心がおありですか。
松本さん    「当社としては、日本のキャピタルマーケットというものをよくしていきたいと思うんです。マーケットというのは、実は大変民主的なものだと思います。常に売りたい人、買いたい人がいて、情報がきちんと提供されるものだと思います。アダム・スミスは、マーケットというのは、情報が完全であり、流動性があるときに予定調和が起きる、と説いています。マーケットの条件として「情報」と「流動性」があるんですが日本はそれが欠けていますね。そういうものをきちんと含めた形で民主的な資本主義を作っていきたいと思っています。そのような中で当社は、個人向け金融という大きなセクターの中で次世代のメジャーになりたいのです。「十分大きい」ではなく、「ザ・メジャー」、つまりナンバーワンになって郵便局を超えたいと思っています。きちんとしたデモクラティックなマーケットを作るということによって、新しいカテゴリーを作っていきたいのです。この国の仕組みにとっていいことをしようとしているのですが、やはり小さい存在では何も変わらないので、大きな存在になっていきたいのです。現在、マネックスメールというメールマガジンが配信されていますが、毎日17、18万通くらい出ています。金融に関するネタのメディアの中では日本最大です。そのマネックスメールに私が毎日コラムを書いているのですが、3年間1日も欠かさずに続けています。それには金融だけではなく、いろいろなことを書いています。もし宜しければ読んで下さい。」
○本日はお忙しいところどうもありがとうございました。

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