シリーズ47


アナウンサー
馬場典子さん
と き: 平成16年2月29日(日)
ところ: 日テレタワー(汐留)
インタビューアー:
平成15年度・会報広報委員会委員長
  川ア直人
 馬場典子さんは,日本テレビのアナウンサーで,現在,ズームイン!!SUPER,ザ!世界仰天ニュース,ザ・サンデー,キューピー3分クッキングなどの番組を担当されています。
 平成16年1月28日から,新宿シアターアプルで,「進め!ニホンゴ警備隊」という本格的な芝居に挑戦されるなど幅広い活躍をされています。
 本日は,アナウンサーとしてのプロ意識を伺うことができたと思います。
○アナウンサーを目指されたきっかけはどのようなものでしょうか。
馬場さん  元々、テレビが好きで、話すことが好きで,好奇心も旺盛でしたので,テレビを身近に感じていました。アナウンサーについても画面で見る以上の印象はなく、特に試験のための勉強はしていませんでした。もしかしたら余計な力が入らなかったのがよかったのかもしれませんが,運,タイミング,相性が良かったのだと思います。また,採用の過程で,今までの一方的な印象とは違う、アナウンサーの仕事の奥深さを垣間見ることができ,やりがいがある仕事だと感じました。
どのような点でやりがいがあると感じられましたか。
馬場さん  アナウンサーは画面に出るので華やかなイメージが強いかもしれませんが、実際には、ニュースなどの情報そのものをどれだけ分かりやすく伝えるか、共演者の方々の魅力をどれだけ引き出せるか、といったサポート役の方が多いのです。そこに一番魅かれました。さらにニュース,実況中継,司会,インタビューなど,状況によって要求されるものも違います。どの角度でものを見て、どう感じて、どう表現するのか、そのためにも幅広い勉強が必要です。実際には、情報やコメントなどは、準備したことの10分の1も放送では使えないですね。でも自分の中にそのくらいのりしろがないと、とても怖くて放送に携わっていられません。
ニュース番組でもただ原稿を読むだけではないわけですね。
馬場さん  はい。原稿は基本的には記者が書きますが,その背景まで理解していないと,行間を汲み取ることができないですよね。そこまで出来て初めて本当の伝え手と言えると思うのです。また,限られた時間の中で,原稿をカットしなければならない場合もあるのですが,そのとき内容が分かっていないと,何をどのくらいカットしてよいか、瞬時に判断ができません。
時間の制限が厳しい仕事だと思いますが,その点で大変さはありますか。
馬場さん  よくいわれるのが、生放送のCM前などで余る、最後の三秒でどうするかということです。黙るのも,当たり障りのないことを話すのも本人の自由です。しかし,簡潔なまとめ,素直な感想,疑問の投げかけなどを最後の三秒で出来れば、より伝えたいことを印象付けられます。しかもそれは、原稿ではないアナウンサー個人の生きた言葉です。瞬発力や語彙力も磨かれます。常にこの三秒のようなプラスアルファのチャレンジをして,そこで自分なりのオリジナリティを出すことにこだわりたいと思っています。
例えば,ザ・サンデーという番組を担当されていますが,どのように番組が組み立てられているのですか。
馬場さん  江川さんがやりたい内容を決められ,それを踏まえて,番組のスタッフが全体の構成を考えます。江川さんと徳光さんのやりとりは台本なのですか?とよく聞かれるのですが、実は、特に台本は作っていないのです。さすがお二人ならではですよね。
 私の役割は,その江川さんと徳光さんのバトルの中に入って,分かりにくい部分を補ったり,進行を促すなどの舵取りをしたりしています。
スポーツ選手のインタビューなどは,ディレクターが質問事項を考えますが,どのように、どんな構成で聞くかは,私に任されており,いかに本音に近い部分を引き出せるか、“てにをは”にまで気を配ります。
バラエティ番組では,どのようなことに気を使われますか。
馬場さん  台本がないところで,初めて会う方とお話するわけですから,楽しく話して頂くこと,なるべくその気持ちの盛り上がりを途切れさせずに展開させることが大事ですね。また,番組を見る方の立場やスタッフの意向も考えなければなりませんので,タイミングやバランスを取るのが難しいです。
アナウンサーをされていると,各分野の一流の方に接する機会も多いと思いますが,今までに強く印象に残った方はいますか。
馬場さん  一流の方はどなたも幅広い見識をもっておられ,圧倒的な存在感を放っているのに、私にも同じ立場で話して下さるような優しい方ばかりなのです。やはり内面の素晴らしさに触れると心を揺さぶられ、自分の糧になります。例えば,長嶋茂雄さんは,私が言うのも気が引けますが、すごいだけではなくて茶目っ気があって,回りにいる人を笑顔にしてしまう魔法をもっている方ですね。
福澤アナウンサーが「進めニホンゴ警備隊」という脚本を書かれて,公演をされたと伺いましたが。
馬場さん  日本テレビの50周年記念事業の一つとして行ったものです。日本語の乱れや言葉の持つ力が低下していることに,警鐘を鳴らすというメッセージが込められていました。もちろん、自戒の念を込めてですが。私にとっては初めての舞台の経験で,テレビと違って,見る方の“気”や反応が伝わってきて、パワーをくれるのが楽しかったです。逆に、こちらも自分の心の動きを言葉にしなければ観客には伝わりませんでした。さらに、表情,身振り手振り,間,他の役者の方と息を合わせることが必要でした。テレビである以上、言葉にこだわるのはもちろん、それ以外の表現の幅も広げる必要性を感じていたので、本当に貴重な経験だったと思います。
言葉の持つ力が低下しているというのは,どのようなことですか。
馬場さん  言霊という言葉が存在する程,本来言葉には力があり、心があると思うのですが,それが形骸化してマニュアル言葉などが生まれているのは、その一例ではないでしょうか。言葉の持つ本来の意味を軽んじたり、言葉を発することの重みを忘れていたり・・・
やらせといわれる問題には,どのような感想を持たれますか。
馬場さん  はっきりとした境界線はつけにくいのですが、言葉や行動そのものよりも、出演している本人の心に沿っているかどうか、が大事だと思っています。たとえば,おいしくないと感じているのに「おいしい」と無理矢理言わせるのはやらせですが,おいしいと言ってもらうために工夫を凝らした結果「おいしい」となるのは演出だと思っています。
司法に対する意見,感想などがあればお願いします。
馬場さん  商学部出身なので,民法と商法は一般教養的なレベルで少しだけ学びました。本来、法律は生活や利益を守ってくれるものだと感じていますが,なんとなく近付きがたいという印象が強いですね。きっと世の中にも悩みをかかえて相談したい方は沢山いると思うので,弁護士の皆さんにはもっと身近な存在になってほしいですね。
 また,判決の文章などは難しいですね。読みやすさより、正確さが最優先だからなのでしょうか。こういったところも、より身近になると有り難いです。
今日は,長時間にわたって,貴重なお話を伺うことができ,有り難うございました。

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