シリーズ71


俳優
京本政樹さん
と き:平成19年4月23日
ところ:FMサウンズ
聞き手:
会報広報委員会  大河内万紀子 委員

 今回の「私」は、「必殺仕事人」「里見八犬伝」等の時代劇や、「高校教師」「家なき子」等のテレビドラマの他、歌手、バライティー番組等に大活躍されている京本政樹さんです。

○ 弁護士会にも京本さんのファンがたくさんいらっしゃると思いますので、今日はいろいろお話を伺わせて頂けたらと思います。
 まず、美術大学のご出身と聞いていますが、どうして芸能界入りされたのでしょうか。
京本さん  実は、中学2年生のときにスカウトをされたことがあったのですが、当時アイドルにはあまり興味がなく、剣道部の部活動をしたりして、お話を頂いたところには返事をしなかったんですよ。むしろ詩とか曲を書くプロデューサーとしての仕事に興味があって、中学3年頃からは曲を作るようになり、バンドを組んで、ヤマハのポプコン(ポピュラーソングコンテスト)に仲間で応募したりしました。
 絵も描いていて、先生から美大への進学を勧められて多摩美術大学に進んだのですが、その後、テープを聞いた大手レコード会社から正式なオファーがあったんです。曲を聴いてのスカウトだったんで嬉しかったですね。そして、大学に通いながら、お茶くみのアルバイトをしながら曲作りをしていました。
○ それが役者の道に進まれたのは?
京本さん  お茶くみをして半年くらいたったころ、役者の事務所からスカウトされたんです。所属していたレコード会社に相談したら、「ちゃんとお前のことは考えているから、やめとけ」と反対されたのですが、「男には何度か決断の時がある!」と思って飛び出しちゃったんですよ。でも結局、新しく入った事務所で、「やっぱりお前アルバイトで生計立てる?」なんてことになって、さらに不遇になってしまったのです(笑)。その時にはもう住むところもなくなってしまって、どうしようと悩みながらパルコの前の柵に座ってたら、当時の事務所の社長に「君、どこかの事務所にいるの?」とスカウトされました。社長に「事務所もそうなんですけど、住むところで悩んでるんですよ。」と言ったら、社長から住む場所も与えて貰えたんです(笑)。
○ 契約の軋轢とかはなかったのですか。
京本さん  精神的なものはありましたが、契約書に印を押したりはしてませんでしたし、事務所にうまく整理して貰えました。この頃の事務所の社長が口癖のように「マネージャーというのは役者を守る弁護士なんだ」と言っていたのが、すごく印象に残っています。18歳の僕に「単にマネージネントするだけではなく全部整理して、決めていくのが僕の仕事なんだよ。京本くん。」と言っていましたね。
○ それからNHKのドラマ「車輪の一歩」でデビューされたわけですね。
京本さん  そうです、マンションを借りた翌日、NHKの制作ルームでプロデューサーに会って、「台本読んで」と言われたんです。台詞なんて読んだことなかったんですが、せっかくだから一番長い台詞がいいと思って読んだら、おこがましいことに主人公の台詞だったんですよ(笑)。そこで「いいね」ということで、決まったんです。
 それから「車輪の一歩」のオーディションの帰りに大河ドラマのプロデューサーに廊下で会って大河ドラマ「草燃ゆる」にも出演が決まったんです。
○ それからは時代劇中心に出演されるようになりましたね。
京本さん  自分では時代劇に行く気は全然なかったんです。だから最初の頃は、怒られても分かんないんですよね。「違うんだ」と言われても、「俺の方が違うんだよ。時代劇の人じゃないから(笑)」とか思っていたら、すごく怒られるんですよ。
 それで、社長に「降ろしてくれ」「時代劇向いてないから」といっても、社長には「おまえはかつらが似合うんだ」とか言われて(笑)。その後、ようやく降板する話しがついたけど、「ワンクール以上はやってもらわないと」と言われ、結局、3ヶ月続いて、三船敏郎さん、天知茂さん、若林豪さん達にしごかれました。やめるつもりで、やってる間に修行をしてたんですね。
○ 先日、ビデオで「里見八犬伝」を拝見しましたが、あまりに変わっていないので驚きました。第一線で長く活躍するための努力といったものはあるんでしょうか。
京本さん  維持するつもりだったかと言われると、あまり意識はなくて、ただ、ひとつだけ精神が「必殺」終わってからでも、「高校教師」のときも、「家なき子」終わったときも、常にいつでもそれをもう1回できる気持ちが自分の中にあるんですよね。自分の中では終わってないんですよ。
 よく人に言うんですがカメレオン状態なんじゃないですかね(笑)。隠れるために緑になっちゃった、黄色になっちゃったみたいな(笑)。別に常日頃ダイエットして頑張ってるというわけでもなくて、そういう精神のありようが続けていられる理由なんじゃないでしょうかね。そのせいか、不思議と、必殺のブームがきたり高校教師のパート2がきたり、なんかするんですよね。そういう星のもとに生まれたんだと、深く感じています。
○ パチンコ必殺仕事人も大人気ですね。
京本さん  30万台以上の大ヒットなんです。全国各地に制作会見、キャンペーンに呼ばれています。イベンターの方からは「藤田まことさんや三田村邦彦さんには、『いかにも必殺ファン』の人がくるけど、京本さんの場合、ホールには来てはいけないような年齢の人が会いに来ますね。」と言われたりします。18,19歳の人が、高校教師や家なき子を見て、また、歌やっているから好き、と言ってきてくれるんですね。写メールに撮られても僕は特に気にしないので、世の中で僕は自分の写メールに写っている芸能人NO。1なんじゃないんですか(笑)
 現在CMも出てますが、24歳のころの「組紐の竜」の映像が、今でもきゃーきゃー言われることが不思議なんです。
○ 今後の活動予定をお教えください。
京本さん  10月からNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」に出演予定です。「ちりとてちん」とは落語の言葉だそうです。
 僕が朝ドラに出演なんて、思わないでしょ? NHKデビューなのにNHK時代劇はともかく、もっとも朝ドラこないだろうな、と思っていたんです。デビュー当初はNHKに出ていたので、NHKっ子って言われた時期もあったのに、着流しの浪人、江戸情緒が似合うような役者になっちゃったから(笑)。
 それで、脱皮じゃないですけど、朝のテレビ小説は、今の俺には難しいけど出たいと思っていました。やっぱり地方に行くと、今でもテレビと言えばNHKですから、全国津々浦々知ってもらうにはNHKだと、NHKの仕事は何でも受けようぜって(笑)。「生活ほっとモーニング」とか出て、布団あげに行ったりしたんですよ(笑)。ファンにもびっくりされました。何で京本政樹が生活ほっとモーニング出てんだってね(笑)。来たら何でも受けるわけですよ。「出よう出よう」って。
○ 朝ドラでは、どんな役柄をなさるんですか。
京本さん  ヒロイン役の貫地谷しほりさんのおじさん役です。僕は、お父さんの弟で、いわば「寅さん」なんですよ。「おいちゃん」にあたるんです。この男が、またどうしようもない男で(笑)未だ結婚しないで家にいるわけですよ。寅さんと一緒で、一発あてようと思って、ふらふらしている男で、この男がのちのち主人公の手助けをするようになるみたいです。
○ それでは現在は大いそがしでしょう。
京本さん  6月から撮影に入りますからね。台本を貰ったんですが、予想以上に出番が多いようです。役者、音楽と活動の幅を広げてきましたが、せっかくのチャンスなので、はたして僕が朝の顔になれるのか(笑)、今年はそれに精魂こめて取り組んでいきます。
○ 今後、弁護士役をやってみたいというご希望はありますか。
京本さん  いや、セリフ長いんで、ちょっと(笑)。以前、「赤カブ検事」に親友の兄貴、森田健作さんが出ていて、収録に遊びに行ったことがあるんです。「やけに長いセリフをよく覚えているな、もりけん」と思っていたら、案の定、台本置いてありました(笑)。
 以前出演したドラマで、共演者の松雪泰子ちゃんが弁護士役だっだんですけど、同情しましたね。あまりに長いし、司法の言葉覚えなきゃいけないし。僕は医者役と先生役多いですが、業界用語まる覚えします。
○ ぜひ京本さんの弁護士役を見てみたいですね。
京本さん  いま言われて、弁護士役をやっていないことに初めて気づきました。でも、僕の場合「やさぐれ弁護士」とか、そういう弁護士になってしまうかもしれませんね、あははは。
○ お忙しい中、楽しいお話をありがとうございました。今後の益々のご活躍を期待しています。




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