平成15年度
    ダム問題―脱ダムをめざして―


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あ ら ま し
シンポジウム報告
シンポジウム委員会
委員長 上 野   猛
 平成15年度定期弁護士大会に先立ち,平成15年9月26日(金)午前10時から,恒例のシンポジウムが群馬県高崎市のホテルメトロポリタン高崎において開催された。以下,当日の様子などを報告する。

1、シンポジウムの進行
 会場は高崎駅ビル内にあるホテルであり,群馬県内では最も交通の便が良い。会場が多少狭いため,会場後部に座った参加者はシアター形式の座席となった。
 現在,群馬県内において,八ツ場ダムと倉渕ダムの建設工事が進行しており,県内外の一般参加者も数多くいた。
 関弁連シンポジウム委員会委員紺正行弁護士の総合司会で始まり,上野猛委員長による開会の辞と荻原静夫理事長の挨拶により進行した。
 外井浩志委員が基調報告を行い,ダムにより自然環境破壊や社会生活環境が破壊されていること,利水についてウォータープランにおいて過大な水需要予測が為されていたこと,水資源の有効利用の方法,治水について,中条堤等日本の歴史的な水防方法があったこと,ダムや河川改修等の方法による治水には限界があり,適切な方法とは考えられないこと,公共事業について,アメリカや日本におけるダム撤去の動き,ダム事業計画手続の見直し等について報告があった。
 シンポジウム委員会で行った現地調査報告として,高橋邦明,只野靖両委員より,熊本県荒瀬ダム,岐阜県徳山ダム建設予定地,宮城県南谷地遊水池等について,スライドを用いて報告が為された。
 パネルディスカッションは,シンポジウム委員会朝倉淳也副委員長,有吉美知子委員が司会を行い,水源開発問題全国連絡会・嶋津暉之氏,元信州大学工学部教授・長尚氏,信州の教育と自治研究所所長・山岸堅磐氏,シンポジウム委員会副委員長・梶山正三弁護士がパネリストとして討論した。
 有吉委員が,長野県の田中知事の脱ダム宣言を朗読,問題点を提起し,長尚氏が同宣言について批判的な意見が述べられ,島津氏により八ツ場ダム,倉渕ダムの基本高水の説明,山岸氏により浅川ダムの住民合意形成,梶山弁護士よりダム事業を止める手続について意見等が述べられた。
 最後に釜井英法委員によるまとめがなされた。

2、シンポジウムの意義
 従前,関弁連シンポジウムにおいて環境問題が取り上げられてきたが,今回のダム問題もその1つである。
 一昨年,長野県の田中知事が脱ダム宣言を為したことによりダム問題が注目を浴びた感があるが,関弁連では既に10年前にダム問題を取り上げている。
 ダム建設計画の基礎になる基本高水流量は,理解しづらい概念であるが,パソコンとプロジェクターを使用して説明が為され,参加者に理解戴けたものと理解している。
 ダム問題は,環境,利水,治水,公共事業何れの問題についても,十分時間をかけて行うだけの価値がある。限られた時間ではあるが,ダムによる治水計画や公共事業の問題点をシンポジウム参加者に考えて戴き,問題意識を持って戴くことになった意義は大きい。