関東弁護士会連合会は,関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

「関弁連がゆく」(「わたしと司法」改め)

従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが,このたび司法の枠にとらわれず,様々な分野で活躍される方の人となり,お考え等を伺うために,会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。

写真

女優、タレント
西村 菜那子さん

とき
2025年5月15日
ところ
長野市内某所
インタビュアー
会報広報委員会委員長 山浦能央
長野県弁護士会 小林毅

今回の「関弁連がゆく」は、NGT48の元メンバーで、現在女優、タレントとしてご活躍の西村菜那子さんです。NGT48第1期生の西村さんは、在籍当時から「駅伝に詳しすぎるアイドル」としてご活躍され、NGT48卒業後もテレビ、ラジオ、舞台などマルチにご活躍される一方で、Webマガジン「#西村駅伝」を開始される等、陸上界、駅伝界を大いに盛り上げておられます。今回はアイドルになられた経緯や駅伝の魅力などについてお話を伺いました。

ロケのお仕事終わりのお忙しい時にお越しいただいてありがとうございます。お疲れだと思いますし、この後東京に戻られると伺っていますので余り長くならないようにいたします。

西村さん 終電まであと4時間くらいありますが、終電に間に合うならお付き合いしますので全然大丈夫です(笑)。

ありがとうございます(笑)。それではじっくりとお話を伺わせていただきます。小学5年生まで長野で過ごされたそうですが、どのような子供時代でしたか。

西村さん 4歳からクラシックバレエを習っていて、バレエ漬けの日々でした。姉がいるのですが委員長をやったり運動会で応援団長やったりして凄く活発で目立ちたがり屋の姉だったんですが、私はどちらかというと大人しいタイプだったんですね。私も姉のように輝いてみたいと思ってバレエにのめり込んでいきました。

芸能界に入られたのはクラッシックバレエをされていたことも影響しているのでしょうか。

西村さん 影響は物凄くありますね。長野のバレエ教室では上手い方だったので、バレエコンクールの全国大会にも出るようになったんですが、結果が出なくて自分はバレリーナになれないなっていう限界が分かってきたんです。それでバレエを中2の時に辞めたんですが、辞めた後に自分の中でバレエがとても大きい存在だったと気づきました。10年間もバレエを習わせていただいたことが本当にありがたくて、バレエを習っていたことを生かせる職業に就こうと思って、色々と考えた選択の一つがアイドルでしたね。

アイドルのオーディションはいつ頃から受けられたのですか。

西村さん 中2の夏休みに乃木坂46の第1期生のオーディションを受けたのが最初ですね。

そこから高校3年生の2015年にNGT48のオーディションに合格されるまで何度かオーディションは受けられたのですか。

西村さん オーディションには落ちたのですが、受けてみて芸能界に入りたいという気持ちが一層強くなって、それで自分を磨こうと思って中3の1年間は芸能養成所に通いました。その後高1の時にAKB48の「ドラフト会議」というオーディションを受けましたが、最終選考で落ちてしまいました。高2の終わりにも第2回の「ドラフト会議」のオーディションを受けて候補生まで残ったんですが、最後に指名されなくて落ちてしまいました。その半年後にあったNGT48のオーディションにようやく合格しましたね。

中々オーディション合格しなかった時期はどのようなお気持ちでしたか。

西村さん 悔しい気持ちも勿論ありましたが、私は変にポジティブなところがあって「私って最終選考まで残れるんだ!最終選考まで残れるならいけるじゃん!」って前向きに考えていました(笑)。なので悲観的な気持ちはなかったですね。

オーディションではどのような準備をされるのですか。

西村さん 最初は歌や踊りの練習もしましたが、審査員の方は目が肥えているので、自分を取り繕ってオーディションに臨んでもバレてしまうんですね。そのことをドラフト候補生になった高2の時に気づきました。それで作られた自分ではなく、素の自分で勝負しようと思って最後のNGT48のオーディションは特別な準備をせずに臨みましたね。

その本質的なところに気づかれた西村さんが素晴らしいですね。合格した時はどんなお気持ちでしたか。

西村さん 「本当に受かったんだ」という驚きが大きかったですね。合格発表の時、私の番号がたまたま最後に呼ばれたのですが、スタッフさんが「次が最後の合格者です」っておっしゃって緊張感が最高潮に達していたんです。最後に自分の番号が呼ばれたときは緊張感から解放された安堵感と嬉しさでいっぱいでしたね。

NGT48は「正規メンバー」と「研究生」に分かれますが、西村さんは最初の約3年間は「研究生」というお立場でした。「正規メンバー」に昇格するために心掛けていたことはありますか。

西村さん 努力して何か結果を出して「正規メンバー」に上がるというパターンが多いんですけれども、NGT48は人数が少なかったので2期生が入らないと昇格はできないと言われていました。時間が経つのを待つしかない状況でしたので昇格に向けて努力したことは特になくて、「研究生」という肩書きでもできることを一生懸命にやっていこうと思っていました。例えば私は駅伝が好きで、アピールしたら番組に出演させてもらうことができたんですが、研究生なのに1人で番組に出演するのは珍しいことなんですね。「研究生でもこんなことができるんだ」っていうことを増やしていきたいと思っていました 。

西村さんのお人柄もあってファンがとても多いという印象がありますが、ファンの応援で嬉しかったことを教えていただけますか。

西村さん 本当に沢山ありますけど、まだ「研究生」で目立つ位置じゃなかった時にファンの方々が「俺たちで押し上げよう」と思って応援してくださって、AKB総選挙(※1)でランクインさせていただいたときは本当に嬉しかったですね。そういった素敵なファンの方と出会えたのもNGT48のおかげなので本当に感謝しています。
(※1) AKB48のシングル楽曲を歌うメンバーを選ぶファン投票で、NGT48を含むAKBグループの全てのメンバーが投票の対象となる

西村さんがNGT48を卒業される時に運営会社の社長さんが、「彼女の周りには自然と人の輪が出来る存在だったと思います。それは、彼女の真摯で直向きな性格と温かい優しさがあるからこそだと思います」とコメントされていますが、西村さんのお人柄がとても良く表れている素敵なコメントだと思いました。

西村さん 私の人柄ではなくて運が良かったんだと思っています。困った時にはいつも誰かが手を差し伸べてくれましたし、周りの方に恵まれて本当にありがたいことだと思っています。ただこう言うと「謙虚なところが良い」って余計に言われちゃうかも知れないですけどね(笑)。

NGT48卒業時の西村さん

確かにそうですね(笑)。2022年にNGT48を卒業されていますが、西村さんが「自分は真ん中に立つようなメンバーにはなれなかったけれどアイドルとしてやりきった」とおっしゃっていたのが印象的でした。NGT48での7年間の活動を振り返ったご感想はいかがですか。

西村さん 本当にその言葉通りで私は一度もセンターになったことがありませんし、1列目に立つようなメンバーでもありませんでした。でもその分他の場所で輝く方法を真剣に考えて、自分の立ち位置で頑張る方法を知ることができたのは良かったと思います。ただ当時は「自分は真ん中には行けない」と諦めてしまっていた部分もあったので、今はファンの皆様に真ん中に立つ姿もお見せしたいと思っています。今舞台では主演で出させていただくこともあるのですが、そうやって頑張れているのもNGT48での活動があったからこそだと思います。

舞台と言えば5月11日に「TOKYO COL-CUL COMEDY」(※2)の公演を終えられたばかりですが、舞台はいかかでしたか。
(※2)色(color)と文化(culture)を掛け合わせて「COL-CUL」と名付けられた色をテーマにしたオムニバスコメディ舞台

西村さん ファンの方もすごく喜んでくださるコンテンツで本当に沢山の方が見に来てくださったのでとても嬉しかったですね。コメディなんですが元々ふざけるのが好きな性格なので私自身とても楽しませていただきました(笑)。

さて西村さんと言えば「駅伝に詳しすぎるアイドル」として有名ですが、まず駅伝に興味を持たれたきっかけを教えてください。

西村さん 両親の影響で小さい頃から見ていたのですが、中1の時に箱根駅伝で東洋大学の柏原竜二さん(※3)が山を走っているのを見て「こんなに山をスイスイと登っていく人がいるんだ!」と感動したのがきっかけですね。それからどんどん駅伝にのめり込んでいきました。
(※3)箱根駅伝往路5区(山上りの区間)で4年連続区間賞をとり「2代目山の神」と呼ばれた選手

駅伝だけでなく記録会も観戦されているそうですが、この「記録会」とはどのような大会なのでしょうか。

西村さん 色々な選手が集まって5000mや10000mのタイムを測るんですが、結果が良いと駅伝のメンバーに選ばれたりしますので、選手にとってはオーディションのような位置づけになる大会かと思います。確か高2の時に「八王子ロングディスタンス(※4)」を見に行ったのが初めてだと思いますね。
(※4)毎年11月下旬に上柚木公園陸上競技場で行われる陸上長距離種目の記録会

駅伝だけじゃなくて記録会も見に行かれると伺って驚きました。

西村さん 観客は結構マニアックな方が多いと思います(笑)。駅伝だとあっという間に終わってしまいますが、記録会はずっとトラックを回っていて選手を長く見ていられるので実は駅伝よりも記録会の方が好きなんです(笑)。

そうなんですか(笑)。さて沢山の駅伝をご覧になっていると思いますが印象に残っているシーンを教えてください。

西村さん 迷いますが特に印象に残っているのは第95回の箱根駅伝ですね。前評判では青山学院大学が圧倒的な優勝候補だったんですが、東海大学が初優勝した大会でした。青学は2位でゴールしたのですがアンカーの鈴木塁人選手がゴールした時に笑顔だったのが印象的でしたね。原監督は「青学らしくどんな順位でも笑顔でゴールするように」とご指導されているのですが、鈴木選手は優勝を逃して絶対に悔しいはずなのに原監督のご指導を実践されたんです。悔しさに堪えて青学らしく笑顔でゴールする姿が素敵だと思ってとても印象に残っていますね。

箱根駅伝の予選会を取材する西村さん

いいお話ですが、やはり西村さんは着目ポイントが凄いですね(笑)。さて「#西村駅伝」を始め、「4years.」(朝日新聞社)、「月陸Online」(陸上競技社)などで駅伝に関するコラムを多数執筆されていますが、どのコラムも大変面白くて、取材の丁寧さと駅伝の知識の深さに驚きました。取材は大変ではありませんか。

西村さん 事務所に駅伝に詳しいスタッフさんがいないので、取材に行く選手を選んだり記事を書いたりするのも全部自分で判断しなければならないのが大変ではありますね。でも逆に自由に取材に行けますので楽しくやらせてもらっています。

「#西村駅伝」というWebマガジンでは高校生ランナーを取材されていますが、どんな時が嬉しいですか。

西村さん 最初に取材した高校生ランナーが、今大学3年生なのですが私のことを覚えていてくれるんですよ。大学駅伝の取材に行くと「久しぶり!」と声をかけてもらえたりします(笑)。高校生を取材するメディアは少ないので、初めて取材に来たのが私だったという選手が多いんですね。去年は文化放送で「#ラジオ版西村駅伝」という番組をさせていただいてラジオでも取材したんですけど声をかけてくれる選手が凄く多くて嬉しかったですね。

「#ラジオ版西村駅伝」収録の様子

本当に駅伝愛が凄いですが、駅伝のどこに魅力を感じますか。

西村さん 襷を繋ぐというシンプルなスポーツですが、実は高校から大学卒業までの選手生活の間には物凄いドラマが詰まっているんですね。例えば山本修平さんという選手は、志望校の早稲田大学のスポーツ推薦が貰えなかったので、1年浪人して受験勉強をして一般入試で早稲田に入学されたのですが、その後主将になるまで大活躍されたんです。また高校時代は全く注目されていなかったのに大学4年生で輝く選手も沢山います。襷を繋ぐだけのスポーツとは思えないくらいドラマチックなところに魅力を感じますし、取材をする度にそういったドラマを見つけるのが面白いと感じています。

ちなみに今注目されている選手を教えていただけますか。

西村さん 駒澤大学4年生の山川拓馬選手には注目していますね。彼は長野県の上伊那農業高校出身なのですが、真面目で練習好きな性格で、練習のやり過ぎで怪我をしてしまうほど熱心なんです。4年生では「練習しすぎないことが目標」と語っていた選手で彼には注目していますね。

私も注目します!あと駅伝のお勧めの観戦方法を教えていただけますか。

西村さん 「月刊陸上競技」という雑誌の選手名鑑を見て観戦するのはお勧めですね。選手のプライベートなことも載っているので面白いですし、5000mと10000mのトラックタイムが載っているんですね。トラックタイムが早いのに駅伝になると遅くなる選手もいれば、逆にトラックタイムは遅いのに何故か駅伝になると区間賞を取る選手もいるので選手のトラックタイムをチェックしながら見るのも面白いと思いますよ。

来年の箱根駅伝は選手名鑑を見て観戦するようにします(笑)。さて今、テレビ、ラジオ、舞台と幅広くご活躍されていますが、今後どのような活動をされたいですか。

西村さん 長野が大好きなので地元長野での仕事を増やしたいと思っています。また「#西村駅伝」をもっと大きくして、皆様に注目していただけるように頑張りたいと思いますね。

最後に弁護士にはどのような印象を持たれていますか。

西村さん 弁護士さんが「私たちは皆様の守護神のようなものです」と話していたのを聞いたことがあって、頼りがいがある存在なのだろうと思いました。弁護士さんは家族以外で自分たちを守ってくれる存在だと感じました。

嬉しいお言葉ありがとうございます。私も依頼者の方にそのように思っていただけるように頑張りたいと思います。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしております。

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