従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが、このたび司法の枠にとらわれず、様々な分野で活躍される方の人となり、お考え等を伺うために、会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。
女優
香山美子さん
香山さんは,昭和36年松竹映画「ご機嫌はりきり娘」でデビューし,以来映画に限らずテレビや舞台で女優として幅広く活躍されています。出演作は数え切れませんが,私たちになじみの深いところでは,大川橋蔵さん演じた「銭形平次」に3代目の女房お静として出演し名コンビとして人気を博したほか,NHKドラマ「ええにょぼ」などがあります。役柄はいつも和服でしっとりとしとやかなイメージですが,素顔の香山さんは本当にテキパキと行動的でさっぱりした性格の方です。また,意外なことに芸能界屈指の酒豪として有名で,若い頃は洋酒を1日一本空けていたという武勇伝(?)の持ち主です。旦那さんはもと東京ロマンチカのリードボーカル三條正人さんで,一緒に出演した「ラブラブショー」という番組で知り合い,三條さんご自身がラブラブになってしまったのがご結婚のきっかけだそうです。
―出演された映画を数えてみたら75本もあるんですね。最近の役もミステリーものが多いようですが,法廷ものとか弁護士ものとかおやりになったことはあるんですか。
香山さん いいえ,実は,映画でもテレビでも弁護士さんと関わるお仕事をしたことはないんです。普段の生活面においても,弁護士さんのお知り合いはいるのですが,ビジネスとして弁護士さんに依頼することはほとんどありませんね。
―それはお幸せな人生ですよ(笑)。でも,この先トラブルに巻き込まれたら,そのときにはどうされるんです。
香山さん これまでは,日本人的というか,自分で我慢して納めてしまうことが多かったですね。弁護士さんとなると,とことん紛争にならないとなかなか思いつきませんし,どこに行ってお会いしていいのかわかりませんよね。それに女優をしていると,なかなか法的問題にしにくいという面もあるんです。
―なるほど,「女優香山美子がお隣と泥沼紛争」とか,ワイドショーが喜びそうですものね。
香山さん そうです(笑)。でも,ついこの間,自宅マンションの底地が競売にかかって,住民皆で弁護士さんに頼んで解決してもらいました。その時に,「弁護士さんというのはこういうふうに第三者間の紛争の間にたって専門的問題を解決してくれるのだなあ」と実感しました。だって,私たちでは法的なことはわかりませんし,いくらで競落していいかもわかりませんものね。
―ええっ,住民の皆さんがお金を出して任意売却を受けたのではなくて,実際に競落したのですか?
香山さん そう聞いてます。ですからその時も,弁護士さんが専門的な見地から「いくらいくらであれば大丈夫。落とせます。」とアドバイスして下さったのです。実際,誰もその価格では入札してきませんでしたので,めでたく底地を手に入れることができました(笑)。
―それはすごい。そのあたりの見極めが適切でないと,ぎりぎりで変な人が落としたら困りますものね。
香山さん そうです。ですから,こういう法的な問題を気軽に相談できるように,どんどん弁護士さんが身近にならないかなと思っています。合格者が3000人になるという記事も読みましたが,町医者的というか,もっと目線を下げていただいて,生活の中に浸透してくればいいなと思いますね。
―その辺は,増員され広告も解禁されましたから,じきにそうなると思いますよ。ところで,香山さんは非常にお酒がお好きとお聞きしていますが,今でも随分飲まれるのですか?
香山さん それはインターネットの記事がおもしろおかしく書いてあるんですよ(笑)。今は一日一本なんて飲めません。
―旦那さんの三條さんは全く飲めないそうですが,どういう時召し上がるのですか。
香山さん 私は,職業として女優をしていますが,家事もきちんとやりたいと思ってずっと実践してきたものですから,家庭も仕事場のひとつと考えているんです。そいういう厳しさが一つの快感にもなっていますね。ですから,夕ご飯の片付けが終ったあと,やっと解放された気分で,いろんなお店に行って好きなお酒を飲みながら「ああ美味しいなあ」と思いつつボーっとするのが好きなんです。
―女優さんは,お仕事の時間がばらばらですし,ご家庭のことが気にかかりませんか。
香山さん 確かに,地方で舞台があったりすると2ヶ月くらいあけることもあります。でも私の息子はもう高3ですし,自分の生活もあるでしょうから,よっぽど悪いことをしない限り,彼の考えを尊重するようにしているんです。だってマザコンになったら私も困りますもの(笑)。
―今後の活動のご予定をお聞かせ下さい。
香山さん 今後は,舞台とテレビをバランスよくやって行きたいですね。テレビは,2時間ドラマが中心になると思います。今撮影している,「京都迷宮案内」のスペシャル版は10月に放映予定です。
―ぜひ拝見させていただきます(笑)。本日はお忙しいところ有難うございました。