従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが、このたび司法の枠にとらわれず、様々な分野で活躍される方の人となり、お考え等を伺うために、会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。
アーティスト
水森亜土さん
今回の「わたし」は,水森亜土さんです。亜土さんは,東京日本橋生まれ。高校卒業後ハワイへ遊学され,帰国後,透明アクリルボードに両手で絵を描きながら歌う,「歌のおねえさん」としてデビュー。その後も,イラストレーターとして活躍されると共に,女優,ジャズ歌手として,多彩な活動をされています。
当日は,銀座でジャズのライブをする直前とのことでしたが,快くインタビューに応じていただき,可愛らしい独特のトークを披露していただきました。
―今日はこれからジャズのライブということですが,そもそも,歌とお芝居と,絵のお仕事の時間配分はどうされてるんですか。
亜土さん 歌は月に何回か,銀座のスウィングってとことか,シグナスってとこで歌ってるの。それで,絵を描いて一生懸命お小遣い貯めて,お芝居に入ると2~3か月は練習ばっかり。ここで,貯めてたお小遣い使っちゃうの。よくね,何が本職ですかって聞かれると,歌が本職,絵は天職で,芝居が内職ですっていうの。
―その,本職の,ジャズの魅力というのはどういうところですか。
亜土さん 大好きな人が死んじゃったり,いろいろある時に聴くと癒されるっていうのかな。私のやってるのは,難しいジャズじゃないから,スウィングだから。こう,おしりが揺れてくる感じ。♪~(歌い出す亜土さん)
―いいですねー。「内職」の,お芝居の方についても伺いたいんですが。
亜土さん 内職はね,4月からのお芝居はね,4月の11日から銀座の博品館でやるんだけど,中国人の女になるの。もう1つ,15才のね,青春まっただ中の男の子の双子の一人をやるの。双子のもう一人は本当の現役の男の子だから,恥ずかしいな!
―全然大丈夫ですよ。ところで,絵の方ですが,亜土さんのお母様も画家ということですが。
亜土さん そう。うちは,家中絵描きなんですよ。妹はね,いろいろ美大受かったんだけど,私だけ落っこって。私,面接で落ちちゃうんですよ。面接官が,あんまりビックな態度で,「あなたはどうしてこの学校を受けたの?」とかって言うと,カチンときて,「たまたま通りかかったから」とか言っちゃうのよ。それで,全部落とされたの。家に帰って泣いても手おくれ!
―それでも,こうしてご活躍なさって。絵本もたくさん出されてるんですよね。
亜土さん 最近出したのはね,「甘い恋のジャム」って本。
―私,小さい頃,亜土さんのイラスト入りのオルゴールを持ってました。あと,亜土さんの絵の偽物っぽいお人形とか。
亜土さん 絵がうんと売れてた時は,いろんな偽物がいっぱい出たのよね。
―そういうときは,法的に対処したんですか。
亜土さん 劇団とかにお任せ。私,だめなんよ,そういうの。だって日本人は昔ね,「ごめんねー,ごめんよー」って言ってね,謝れば終わったじゃん。だからいちいち弁護士さん立てて表に出ていくのは寂しいな。
―裁判とか見に行かれたこともないですか。
亜土さん こわくて行けない。でも,友達のことでね,弁護士会館ってあるでしょ,あそこに訪ねて行ったことはあるんですよ。でも,なんか,あの建物からしてガーンとなっちゃって・・。で,時間かかりそうで,途中で帰ってきちゃった。
―やっぱり入りにくい感じですかね。もっと,弁護士会とか弁護士にこうしてほしい,という要望はありますか。
亜土さん なるべく弱い者の味方になってあげてほしい。お金なくても。強い人の弁護なんて,いいのよ。でもそうすると仕事になんないかもね,困ったなー。
―そこはですね,いわゆる割のいい仕事だけでなく,意識的にお金にならない仕事もやるようにしている弁護士も多いと思いますが。
亜土さん うん,どんどんお金にならない仕事もやって,そして心がリッチになってほしいな。私はね,生涯死ぬまで,もめごと,ばっちい事は見ないで死にたいんですよ。その代わり,家で絵描いて,ネコ描いて,ネコの髭ピンなんて抜いたりしてね。
―インタビュー終了後,そのまま亜土さんの車に同乗させていただいて,銀座のジャズスポットへ。亜土さんの可愛らしいステージパフォーマンスを見ながら,「おしりが揺れてくる感じ」を身をもって体験してまいりました。亜土さん,すてきな夜をありがとうございました!