従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが、このたび司法の枠にとらわれず、様々な分野で活躍される方の人となり、お考え等を伺うために、会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。
漫談家
綾小路きみまろさん
今回のインタビューは,漫談家の綾小路きみまろさんです。好きな言葉は「感謝の心『花は色,人は心』」。潜伏期間30年で大ブレークした中高年のアイドルに,法曹界に対して自慢の毒舌をふるってもらおうかと思いましたが,きみまろさんの誠実なお人柄から,まじめなインタビューになりました。
―CDを聴かせて頂いたら,潜伏期間30年,というネタがあったんですが,その間,どういうお仕事をされていたのですか。
きみまろさん 鹿児島から上京して,最初は司会者になろうと思ったんです。玉置宏さんという司会者の方に憧れて。最初はキャバレーでボーイをやってたんですが,専属の司会の方が休みのときに,1回でいいからやらせてくれとお願いして。お前司会やったことあるのかと聞かれまして,いやありません,でもあのくらいの司会なら僕にもできます,と。それで,練習でやってみまして,そしたら,お前,上手いじゃないかって。それで,時々やらせてもらえるようになったんですけど,そのうち専属の方がお辞めになって,それで私がずっとやるようになったんです。
それで,5,6年たって,司会だけじゃつまらないということで,漫談も覚えようと。週刊誌の小話なんかおもしろいのがあったら拾い出して,自分なりにアレンジして,やってましたね。その積み重ねですね。それをだんだんやっていって,徐々に漫談できるようになって。
そのうちおもしろい奴がいるっていうんで日劇のプロデューサーが日劇に出してくれて,森進一さんに出会うわけですね。それで,歌謡ショーの司会に戻って,森進一さんとか,小林幸子さん,伍代夏子さんの司会もやるようになりました。それで1000人とか2000人とかの人の前でできるようになったんですね。それが30代,40代でしたね。
―綾小路きみまろさんの芸風は,中高年のおばちゃんに対する毒舌漫談ですよね。
きみまろさん この不景気の時代に,罵倒されることが快感になってるみたいなね,そういう人が,10人のうち7,8人はいるんじゃないかと思いました。中高年のおばちゃんは,ある程度時代を生きてきている人たちですから,許してくれるんじゃないかな,と,そういう気持ちもありましたね。40代の頃は,自分が若いせいか受け入れられませんでしたけれど,50代になって,受け入れられるようになりましたね。
―ブレイクしたきっかけは,漫談のカセットが評判になったということですが。
きみまろさん 片面45分のテープに話を2つ吹き込んだのを作って,自宅で1回に10本くらい作れる装置用意して,自分で作りました。それで,カセットデッキがあって,みんなが閉じこめられて,無理矢理聞かされるところといったらバスだと思ったんですね。それでパーキングエリアにテープ100本くらい持って行って,添乗員さんにただで配ったんです。2年くらいやってました。
それで,注文が来るようになりました。最初は,一日に5本とか10本くらいだったんですけどね。それがだんだん増えてきて,ああ,これで俺も食っていけるなと思ったんですけど,どんどんエスカレートして,一日最高200本以上になっちゃって。
それを,テイチクが,かぎつけたんですね。最初は他の会社も来たんですけどね,売れないよ,こんなもの,って言って断っちゃったんですよ。でも,テイチクの人には,きみまろさん,これは売れてるんだけど,歴史に残らないんだよね,メーカーからきちんとでたら,歴史に残るんだよね,と言われて,妙に納得したんですよね。
―CDが100万枚を超えたということですが,続編を出されるつもりはないんですか。
きみまろさん 今回のCDはね,15年くらいの凝縮なんですよ。ずっと笑えるように作ってありますからね。だからね,こういうの作るのは,3,4年じゃ無理ですね。
あと10年くらいたってね,わびさびのある芸ができるようになれればと思ってるんですよ。作るんだったら,納得いくものを出したい。いい加減なものは出したくない。10万でも15万でも売れればね,何百万くらいになるみたいなね,そういうことはしたくない。
―盗作疑惑について,お聞かせ願えますか。
きみまろさん 週刊誌でいろいろ書かれましたけれど,私たちの業界はね,匿名のセンテンスを引っ張るってのはね,よくあるんですよ。でもね,売れちゃったから問題になったんですよ。そのときにね,自分で考えたって言えって奴もいましたけどね,それは正直にやらないといけないと。それで記者会見やりました。
弁護士には頼まなかったです。ただ,第一生命に,サラリーマン川柳の中から10組くらい盗みましたと言いにいきました。きみまろさんいじめたら解約するよ,みたいな電話も行ってたらしく,困っていたようでしたね。ただ,私としては,法的手段を取られても仕方がないと,どうにでもして下さいと言ったんです。
―きみまろさんのテープもだいぶ違法ダビングで広がってるようですが。
きみまろさん ダビングのダビングのダビング・・・。おばちゃんなんかが,ダビングのテープ持ってきて,サインしてくれ,っていうんですよ。うーん,ダビングはだめなんだよ,っていいながらサインしてあげるんですけどね。
―現在の法曹界について,何か思われることがありましたらお聞きしたいのですが。
きみまろさん 弁護士さんも,あっちの話聞いてこっちの話聞いて,一番いい方法取らなきゃいけない,大変な仕事だろうと思いますけれども。あるときは,悪いことも言わなくちゃいけない。打たれ強くて,常に攻撃型じゃないとつとまらないんじゃないかと思いますけれどね。なーにが弁護士だ,と,そういう人もいますでしょう。血を見たら警察来ますけど,来て,大丈夫ですかって,大丈夫じゃないんですけど,そういう前に仕事するのが弁護士じゃないですか,命がけだと思いますよ。
あと,かけ離れた世界なんですよね,弁護士さんってね。ちょっと垣根が高いかな,ってね。あと,支度金・・・じゃなくて着手金ですか,基準はあるんですか?値段がね,見えないんですよね。
弁護士さんは,もっとテレビに出なきゃだめですね。弁護士はいい人だ,っていうムードを作らなきゃだめでしょうね。弁護士さんが出てる番組も視聴率取れてるじゃないですか。まあ,賛否両論あるのかもしれませんけどね。
―本日はどうもありがとうございました。