従前「わたしと司法」と題しインタビュー記事を掲載しておりましたが、このたび司法の枠にとらわれず、様々な分野で活躍される方の人となり、お考え等を伺うために、会報広報委員会が色々な場所へ出向くという新企画「関弁連がゆく」を始めることとなりました。
エンターテイナー
団 しん也さん
今回の「わたし」は,エンターテイナーの団しん也さんです。
団さんは,1944年群馬県生まれの60歳。高校3年生の時にTBSの歌まね番組「歌まね読本」で優勝したのをきっかけに,作曲家の古賀政男さんの最後の弟子となり,1966年にポリドールレコードから「あいつにゃあいつの夢がある」でデビューし,レコード大賞の新人賞にまでノミネートされました。その後の団さんは,歌手としての活動だけにとどまらず,持ち前のバイタリティーから,ものまね,声優,俳優,など,芸能界のあらゆる分野でその能力をいかんなく発揮されてきました。私たちになじみの深いところでは,ドラマ「5年3組魔法組」の高牧先生役や,「戦えレッドバロン」の主題歌,ネズミのキャラクター「トッポジージョ」の吹き替え,高級カップラーメンのはしり「オロチョン」のCMなどがあり,家庭のお茶の間にはなくてはならない存在となっています。現在は,団しん也&ミッドナイト6を率い,銀座ジャズライブ「Swing」で自慢の美声を披露されているほか,地元群馬のイベントではまさに引っ張りだこで,お忙しい毎日を過ごされているようです。
―団さん,初めまして。私くらいの年代だと,団さんと言えば「5年3組魔法組」の高牧先生ですね。曽我町子さん扮する魔女ベルバラが毎回騒動を起こすドラマでしたが,すごく面白くて毎週夢中で見ていました。でも高牧先生は途中で転勤しちゃったんですよね。
団さん 懐かしいですねえ,あのドラマ(笑)。でも,子供たちが土日しか撮影できないもんだから,スケジュールがきつくてきつくて,ひどいロケだったなあ…。それで,途中で音をあげて「頼む,転勤させてくれ!」とお願いしたのです。お台場で皆に見送られるシーンを取ってお役御免にしてもらいました。
―あはは,なんと9話で転勤しているのは,そんないい加減な理由だったのですか,知らなかった。
それで,団さんは,歌手や俳優だけではなくて,ものまねや声優さんなどエンターテイメントの分野で広く活躍されてますよね。ご自身の著作権の問題とか,ケアされていますか。
団さん 今のところはあまりデリケートに考えていませんが,今後きちんとチェックしていくのは必要だと思っています。例えば,昔私が日本語版を吹き込んだ某映画があったんですが,結局英語版で公開されたので,私の仕事も「日本語版は公開しなかったから」という理由で,日当程度で終わってしまったのですね。ところが,娘が某所でそのビデオを買って来たら,「ようこそ○○○○」って,まぎれもなく私の声で入っているじゃありませんか!ひどいですよ,こういうのは(笑)。将来的には,きちんと対処していく必要を感じますね。
―あはは,今のは伏字にしておきますね。
団さんは,エンターテイナーとして様々な役柄をこなしていらっしゃいますが,俳優として司法とか裁判に関連する役柄をされたことはありますか。
団さん あります,あります。石坂浩司さんの演出で,ヘンリー・フォンダの「12人の怒れる男」をパルコ劇場でやりました。私が5号の役でした。イタリアのスラム街で育った不良の役で,陪審では「ナイフでこんな刺し方はできるはずがない。俺は知っている。」と言って,キーマンになる役でした。最後は,小松方正さん演ずる3号が,息子への偏見をついに認めて,「無罪だーっ」と言いながら泣き崩れ,12対0になって終わるんですよね。夏なのに窓を閉め切って,「おや夕立ですね。窓を開けましょう。」なんて言いながらクーラーをサーっとかけたりして,すごく臨場感のある舞台でしたね。
―今度裁判員制度もスタートしますし,少しずつ,司法が一般の方に身近になっていきそうですね。
団さん でもまだまだですよ。やっぱり,弁護士さんというと,まだ敷居の高い感じがしますね。もっと,社会に開かれた窓口をあちこちに作らないといけないと思いますよ。こういった業界誌だって,一般の人が読み易いように特集を組んで,役所の窓口に置くとかして,一般人が容易にアクセスできるような工夫が必要だと思います。
―合格者が増えたり,広告が解禁されたりして,少しずつ変わっていくとはおもいますよ。
団さん でも,実際に何かが起きてからでは遅いのです。例えば,この間私の家にオレオレ詐欺の電話がかかってきて,「霞ヶ関の○○法律事務所の○○弁護士だが,あなたの息子が事故を起こして,示談金286万3000円が必要なのですぐ振込んでくれ。」って言ってきたことがありましたよ。
―えらい半端な金額ですね。弁護士費用が入ってるんでしょうか(笑)。オレオレ詐欺のお手本みたいな手口ですね。
団さん 息子は,電話口で泣きじゃくっているんですが,24にもなった息子がそんなに泣くわけないじゃないですか。それで「弁護士先生の電話番号を教えてくれ」と言うと,090とか携帯の番号を言うわけですよ。おかしいなーと思って,「息子に替わってくれ。」と言うと,また息子が泣きながら出てきたので,「お前,昨日は四国だったはずだろ。いつ東京に帰ってきたんだ。」とカマかけたら,「昨日飛行機で帰ってきたんだ」と言うわけです。なので「なに言ってんだ,オマエ。昨日は台風10号で四国の飛行機は全便欠航だぞ。オマエ泳いできたのか?」と言ったら,プツッと切れちゃいました(笑)。
―そんなことがあったのですか。
確かに,皆が皆,団さんみたいに機転が効くわけではありませんから,予防の手だては必要ですね。
団さん そう,これが,一人暮らしのおばあちゃんだったり,奥さん一人で留守番だったりしたら,コロッと騙されることもあると思いますよ。だから,「オレオレ詐欺の手口はこうなんだ。事故の現場で大金を払うようなことは一切ないんだ。」ということを,きちんと事前に広報すべきなんですよ。そういう予防的な活動がまだまだ一般の人が使い易いレベルになっていないと思いますね。そのあとで,武蔵野警察に連絡したら「団さんで本日3件目ですよ。」って言ってましたよ。結局,彼らの考えているのは,こちらに冷静な判断をさせる時間を与えないというところにあるわけだから,そういう時「では知り合いの先生に連絡して,折り返してもらいます」と言えれば全然違いますよね。
―なるほど,参考になります。広報してはいるのだと思いますが,より身近にならなければいけませんね。
ところで,団さんは,最近の活動はライブ活動や地元群馬の「一日署長」みたいな活動を精力的にこなしておられるようですね。
団さん そうですね。群馬の活動は,やっぱり両親の代から群馬でずっと育ってきましたし,その恩返しというところがあって,マメにやらせてもらっています。こういう公的な仕事も大事ですが,群馬には大きな企業も沢山あるわけですから,ホントはもっと営業につながるような仕事もしたいです。他県のタレントを使ってるくらいならオレにやらせろって言いたいですよ(笑)。
それと,ライブ活動は,テレビでは感じられない本当のエンターテイメントを見て欲しいと思い,小さな会場で定期的にやっているものです。私は,少ないお客さんでいいから,テレビよりも,ステージで生の魅力に触れて欲しいと思っています。
―インターネットの記事を見ると,すごく評判いいようですね。私も一度お伺いしたいのですが,団さんはホームページがないですよね。どうやってスケジュールを確認したらいいのですか。
団さん すみません。息子が途中まで作って大阪に行ってしまったもので…,帰ってきたら作ってもらいます。
―それじゃクチコミでしか分からないじゃないですか(笑)。早急に整えて下さい。
本日はどうもありがとうございました。