関弁連というのは、関東弁護士「会」連合会のことで、東京高等裁判所管内の13の弁護士会によって構成されています。東京の三弁護士会(東京、第一東京、第二東京)と、関東地方の弁護士会(神奈川県、埼玉、千葉県、茨城県、栃木県、群馬)のほか、甲信越の弁護士会(山梨県、長野県、新潟県)及び静岡県の弁護士会が連合した組織です。
関弁連に所属する弁護士の数は約2万8千人で、日本の弁護士の約62%が関弁連に属しています。
全国には、「弁護士会連合会」(弁連)が、関弁連の他に、全国の高等裁判所に対応して、北から北海道、東北、中部、近畿、中国、四国、九州に設けられています。
また、全国組織である「日本弁護士連合会」(日弁連)は、全国52の弁護士会及びそこに所属する弁護士・弁護士法人を構成員(会員)としています。つまり、52弁護士会は、日弁連の会員であると同時に、各地の弁連の構成員でもあるわけです。
日弁連は、国家機関から監督を受けない「弁護士自治」を有し、この自治権の下に、弁護士会及び弁護士等の指導及び監督を行い、また、全国レベルで憲法、人権、災害支援、刑事司法と民事司法の改革、法曹養成、裁判員制度、男女共同参画等といった重要な諸課題について市民の視点から取り組んでいます。
関弁連を始めとする各地の弁連は、各地で日弁連のこういった活動のサポートを務める一方、地域における諸課題に取り組むと共に、構成する弁護士会の連携・交流を図るための諸活動を展開しています。
定期弁護士大会やシンポジウムなど、13弁護士会が協働で行っている事業が沢山あります。最近では、東日本大震災の被災者支援活動もそうです。福島から関弁連管内に避難しておられる方は沢山おられます。お互いに情報交換したり研修をしたりしながら、被災地にアクセスしやすい会は、現地に行って法律相談をすることに力を入れ、遠い会は地元で避難して来られた方々を支援したりして、協働して被災者支援に取り組んでいます。
関弁連は、日本最大の弁護士会連合会ですが、所属弁護士の4分の3は東京の三つの弁護士会に属し、残りの4分の1の弁護士がそれ以外の弁護士会に属しています。その環境の違いから、巨大都市東京の弁護士会と10県に属する弁護士会の間では、かなり意識が違っています。この違う弁護士会同士で、情報を共有し協働していく工夫が求められています。
2024年度理事長
菅沼 友子
2024年度関弁連理事長に就任いたしました第二東京弁護士会所属、42期の菅沼友子です。東京弁護士会の村林俊行副理事長をはじめ、常務理事・理事・幹事の皆さまとともに、1年間関弁連の会務を担当させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
私は、管内の静岡県(三ヶ日町という奥浜名湖の小さな町。現在は浜松市に編入。)の出身で、修習も静岡でした。その意味で、関弁連、とりわけ十県会の先生方は、私にとって、何となく懐かしく近しい方たちです。弁護士としては、2019年度に関弁連常務理事をさせていただき、さらに2022年度には第二東京弁護士会の会長として常務理事を兼任させていただきました。
最初に常務理事となった2019年度は、台風15号と台風19号により管内各地域に大きな被害が生じた年でした。事務所が浸水被害に遭った常務理事もおられましたが、そのような中でも発災直後から常務理事のML上で被害状況の確認と弁護士会の対応に関する情報交換が始まり、管内弁護士会が協力しあって災害対応にあたる様子を目の当たりにし、とても感動したことを覚えています。正直なところ私はそれまで、関弁連という組織の存在意義を感じることはあまりなかった(申し訳ありません!)のですが、このような経験を通じ、また、規模の異なる管内各弁護士会の多様で豊かな活動に触れる機会を多くいただく中で、関弁連の良さ、大切さを実感するようになりました。管内弁護士会の会員、特に若い会員の皆さんにこのような関弁連の魅力を知っていただけるよう、この1年間努めてまいりたいと思います。
日弁連や弁護士会の会務では、両性の平等に関する委員会(二弁は「全ての性の平等に関する委員会」に改称。)や男女共同参画推進本部の活動等に関わってきました。関弁連は2021年度に関弁連における男女共同参画を推進する大会決議を採択し、理事及び常務理事における女性の割合が30%以上となるよう環境整備に努めることを規約に定めるなどして、その取組みを進めています。しかし、関弁連の70年の歴史の中で、理事長に女性が就任するのは私で3人め、今年度の理事及び常務理事合計46名のうち女性は12名(26%)という途半ばの状況ですので、引き続き取り組んでいく必要があります。女性弁護士全体の割合を増やしていくこともまた大事な課題でありますが、今年度は女性初となる渕上玲子日弁連会長が誕生し、さらに近弁連も女性理事長が就任、NHKの朝ドラでも女性初の弁護士がヒロインとなるなど、社会的にも女性弁護士に注目が集まる条件がそろっていますので、当連合会としてもこのチャンスを生かすような取組みをしたいと考えています。
それから、私は縁あって2015年から4年間、日本司法支援センター(法テラス)本部に民事法律扶助等の担当部長として常勤で勤務しました。2022年度に日弁連副会長をつとめた時も法テラス関係の課題を主に担当いたしました。法テラスに関しては弁護士、弁護士会の中で様々な意見があることは承知しておりますが、司法アクセスを改善し、市民があまねく司法サービスを受けられるようにしようという趣旨は、関弁連が粘り強く取り組んでいる地域司法の充実の課題と共通していると思います。司法へのアクセスが困難な方々がまだまだ多くいらっしゃる中、その改善のための関弁連の取組みを進めるべく、私も力を尽くしたいと思っています。
挨拶の最後になりますが、前年度理事長・副理事長、事務局の皆さんのご尽力で、弁護士会館の関弁連の部屋の隣を会議室として確保することができ、今年度は常務理事会、理事会、委員会等を広くて綺麗な会議室で行うことができるようになりました。オンライン会議を引き続きうまく使いつつ、この会議室を活用してリアルに顔を合わせて活発な議論をしていただくことを期待しております。また、管内各弁護士会にも副理事長ともどもお伺いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。