新藤正敏(群馬弁護士会)
みなさま,こんにちは。群馬弁護士会の新藤といいます。
突然ですが,みなさまバンジージャンプは飛んだことあるでしょうか。私は,今年の7月3日にみなかみ町で初めて飛びました。それも,飛んでみたくて飛んだのではなく,成り行きで飛ぶことになってしまいました。
事の発端は,今年の8月に群馬県で開催される関東十県会夏期研究会の担当委員に私がなったことに始まります。研究会のオープニングで,群馬弁護士会のPRビデオを流すことになり,私が製作担当になりました。撮影は製作会社にお願いしてあるのですが,その他に会員個人が撮影した動画も挿入して,盛りだくさんのビデオにしようということになりました。
7月3日,4日にみなかみ町にある水上温泉で群馬弁護士会の夏期合宿が行われることになっていて,水上ICを降りてすぐのところにバンジージャンプができる橋があります。私は,合宿の初日の夜に,帰りにみんなでバンジージャンプを飛んで,その動画をPRビデオに挿入しようと提案しました。みんな賛同してくるだろうと私は思っていたのですが,予想に反して,みんなは笑うだけで全く乗り気ではありませんでした。
明くる朝,私は再度みんなを誘ったのですが,誰も飛んでくれる気配はありません。私自身,飛んだことがなかったので,一人で飛ぶことが少し怖くなり,このまま飛ばずにそっと帰ろうかと思いました。ところが,合宿が終わって解散になったその時,幹事の先生からもう一度呼びかけて見てはということでマイクを渡されてしまいました。やむなく,マイクを使って最後の呼びかけをしたのですが,やはり誰も賛同してくれません。私もこうなったら引っ込みがつかないので,一人で飛んできますと宣言してその場を後にしました。
そして,動画の撮影をお願いした先生達と一緒に,バンジージャンプの場所へと向かいました。バンジージャンプの場所へと着くと,緊張感が一気に高まります。受付を済ませて,いざ橋の中央に着くと,誰もいません。先に飛ぶ人をよく見てから飛ぼうと思っていたのですが,私がトップバッターでした。
係の人が来て,ジャンプ台に誘導されます。ジャンプ台は網目になっているので,下が透けて見えます。目もくらむような高さです。橋の下は川なのですが,この日は水量が少なく,ジャンプ台の真下は岩がむき出しです。ロープが切れたら確実に死ぬではないですか。そうこうしているうちに,係員が私の体にハーネスを付け,足にロープを巻き付けていきます。ロープは,細いゴムを何百本も束ねてあるのですが,所々,ゴムが切れています。ほんとうに大丈夫か。私の顔は完全にこわばっています。係の人が私の緊張に気づいて,「リラックス,スマイル」(外国の方でした)と言ってきます。私は精一杯の笑顔を作ります。
いざ立ち上がり,ジャンプ台の先端まで行きます。つま先から先は,もう何もありません。いままで感じたことのない恐怖心が一気にこみ上げてきます。カウントダウンが始まります。「ロープが切れたら死」という考えが何度も頭をよぎります。でも,動画を撮られているし,躊躇したらもう飛べなくなる,そう考えて,5,4,3,2,1,バンジーのかけ声と共に,前方めがけて頭から飛び降りました。
一気に真下へと落ちて行きます。お腹の中の胃があがってきます。ジェットコースターで起きるあの感じです。ロープが伸びきると,今度は上へと引っ張られていきます。橋が目の前まで迫ります。ぶつかる,と思った次の瞬間,再び下へ落ちていき,また上へとあがります。もう,自分がどうなっているのかさっぱり分かりません。ただ,飛ぶ前に受付の人に,2回目に上がってくるときに身体がカメラの方を向くので,ポーズをとるように言われていたので,必死に上体を起こして笑顔で手を振りました。
3回目に落ちてきたとき,ようやく動きが止まりました。そして,ロープが徐々に下がっていき,下で待っている係の人をめがけて降りていきます。しかし,まだ安心はできません。高さは十分にあります。頭から落ちればただでは済みません。係の人まで,5メートル,4メートル,3メートル,と近づきます。係の人が手をつかみ,引き寄せられ,そのまま用意されていたゴムボートの上に仰向けに寝かされました。やっと身体が地につきました。無事に戻れた,という安心感が全身にこみ上げました。起き上がって,再度カメラに手を振りました。今度は作り笑顔ではありません。
そして,いまだ高鳴る鼓動を胸に,みんなの待つところへ戻りました。
飛んでいた時間はわずかでしたが,全身に力が入っていたので,想像以上に疲れました。また,非日常的な体験をしたためか,その日は一日中おかしなテンションでした。その時の動画をユーチューブにアップしてありますので,よろしかったら探してみてください。でも,もう二度とバンジージャンプは勘弁れん!
(2016年08月04日)