現代社会は,21世紀に向かい国際化,情報化の時代をむかえようとしており,都市もこれに対応した変容が求められるようになった。このような時代の流れの中にあって,「都市再開発」という言葉が時のキーワードとしてうたわれ,さらには,我国における地価高騰の対応策として,都市再開発は大都会においても官・民をあげて盛んに議論がなされている。
しかし,現在における都市再開発論議の方向は,むしろ地価対策の面が先行し,需要と供給の原理による床面積,容積率の増加のみが強調され,これに「規制緩和」あるいは「民活」の流れが加わり,様々な問題が生じてきている。
現代都市は,ゴミ問題,上下水道問題,交通問題等様々な都市問題をかかえ,われわれは,この抜本的解決を模索するものであるが,都市再開発も,このような都市問題の解決の一環ととらえ,単なる市場原理のみに支配されないグローバルな基本理念をもたねばならない。
われわれは,このような観点にたち返り,何のための都市再開発か,誰のための都市再開発なのか,何を基本に事業がなされなければならないかを検討し,現行諸法を検証して,あるべき都市再開発法制を策定する必要がある。
われわれ弁護士及び弁護士会は,さまざまな角度からこれらの問題を検討し,関係機関に提言するなどの諸活動を推進するものである。
右決議する。
平成3年(1991年)9月28日
関東弁護士会連合会
横浜弁護士会所属の坂本堤弁護士とその家族が,1989年11月4日以来行方不明になって既に1年10カ月余が経過した。
この間日弁連,横浜弁護士会の調査や警察の捜査によれば,坂本弁護士一家失踪事件は,坂本弁護士とその家族が自らの意思によって失踪したものではなく,何者かによって強制的に自宅より連れ出された凶悪な拉致事件であること,この拉致事件は坂本弁護士一家の私生活上の原因に基づくものではなく,坂本弁護士の弁護士業務に関連してなされた疑いが極めて濃厚であることが明らかになった。
基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の活動を暴力的行為によって妨害することは,司法制度や民主主義の根幹を揺るがすものであり,法治国家においては絶対に許してはならない行為である。関弁連はこのような視点から,坂本一家拉致事件が単に坂本一家だけの問題ではなく,弁護士の活動全体に対する挑戦であると捉え,坂本弁護士一家救出活動に日弁連とともに取り組んできたものである。
しかしながら,各会弁護士各位の努力や多くの市民の協力,捜査当局の懸命な捜査等にもかかわらず,残念ながら今日まで坂本弁護士一家救出につながる有力な情報は得られず,坂本弁護士とその家族の生命が危ぶまれる状況となっている。
われわれは,時の経過の中でこの事件が風化し人々の意識から忘れ去られてしまうことのないよう,今後とも引き続き坂本弁護士一家救出のため総力をあげる決意をここに表明し,捜査当局に対しても引き続き強力な捜査と1日も早い一家救出を強く要請するとともに,市民各位に対しても情報の提供等広く協力を求める次第である。
右決議する。
平成3年(1991年)9月28日
関東弁護士会連合会