行政機関の保有する情報の公開は,国民主権の原理の当然の要講であるとともに,人権侵害の予防や救済のために不可欠なことである。そして,何よりも,基本的人権としての「知る権利」が,'情報公開の制度化を要講している。
既に,地方公共団体においては,1982年以降,情報公開条例等の制定,運用により,一定の限界はあるものの,官官接待の実情が明らかにされるなどさまざまな成果をあげてきた。
これに対し,国レベルの情報については,情報公開法が制定されずにきたために,原発「もんじゅ」の事故における情報隠し,薬害エイズに関する厚生省の資料隠し,住専問題の不透明な処理など,重要な情報の秘匿が常態化するという事態をもたらした。
現在,行政改革委員会において国の情報公開制度のあり方について検討が進められており,本年4月24日には,同委員会の行政情報公開部会が情報公開法要綱案(中間報告)を公表した。本年12月には,行政改革委員会としての国の情報公開制度の構想が明らかにされ,これに従って情報公開法の制定が進められることになる。
しかし,この情報公開法要綱案(中間報告)は,これまでの地方公共団体における情報公開制度の運用実績にも逆行するような,極めて多くの問題をかかえている。今後国が法制化を進めるに当たり,次のような内容の情報公開法を制定するよう,強く要望する。
以上のとおり決議する。
1996年(平成8年)9月27日
関東弁護士会違合会