東京高等裁判所管内の司法基盤の整備充実を求める決議
- 東京高等裁判所(以下「東京高裁」という。)管内の司法については重要な課題が山積している。とりわけ,以下に述べる4点は,放置できない喫緊の課題であり,早急に実現すべきである。
(1) 東京地方裁判所,東京家庭裁判所(以下「東京地家裁」といい,他の地方裁判所,家庭裁判所を併せていうときは「地家裁」という。)立川支部は,独立した地家裁本庁とすべきである。
(2) 市川簡易裁判所と千葉家庭裁判所市川出張所の管轄地域に地家裁支部を新設すべきである。
(3) 横浜地方裁判所相模原支部において,民事・刑事の合議事件が扱えるようにすべきである。
(4) 東京高裁管内に設置されているさいたま地方裁判所,さいたま家庭裁判所(以下「さいたま地家裁」という。)秩父支部,前橋地方裁判所,前橋家庭裁判所(以下「前橋地家裁」という。)沼田支部,千葉地方裁判所,千葉家庭裁判所(以下「千葉地家裁」という。)館山支部,同佐原支部,水戸地方裁判所,水戸家庭裁判所(以下「水戸地家裁」という。)麻生支部,静岡地方裁判所,静岡家庭裁判所(以下「静岡地家裁」という。)掛川支部には裁判官が常駐していない。これらの裁判所に,早急に,裁判官が常駐するようにすべきである。
- 関東弁護士会連合会は,東京高裁管内の司法が,社会の期待に応えるものとなっていないことを直視し,管内の地域司法を整備充実させるための突破口として上記喫緊の課題に取り組むとともに,解決が強く求められている東京高裁管内の地域司法についてのその他の課題にも取り組む所存である。これらについては,他の弁護士会連合会の地域司法の整備充実に向けての取り組みと連携し,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)及び単位弁護士会とともに,最高裁判所(以下「最高裁」という。),法務省,政府その他関係機関はもとより,都道府県などの地方自治体や社会の各界各層によびかけ,それらの実現に向けて行動を開始する。
- また,これらの課題及び東京高裁管内のその他の課題,さらには他の高等裁判所管内の地域司法の諸課題を実現するために,「地域司法の基盤を整備するための検討会議」(仮称)を内閣のもとに設置することを求める。この検討会議は,法曹三者だけでなく有識者や司法の利用者である市民も参加するとともに,各都道府県の市民が置かれた実状と裁判所の実状を充分調査して,各地の地域社会の期待に応える司法のあり方について議論し,提言するものとする。
以上決議する。
2011年(平成23年)9月30日
関東弁護士会連合会