関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

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平成27年 声明

入国管理局収容施設における被収容者の死亡事件に関する真相解明とその公表を求める理事長声明

1 声明の趣旨

 当連合会は,2014年3月29日及び30日に,東日本入国管理センターに収容されていた男性2名が相次いで死亡した事件,2013年10月14日及び2014年11月22日に,東京入国管理局庁舎内の収容施設に収容されていた男性が1名ずつ死亡した事件について,法務省が,その真相を解明するための独立した第三者機関を直ちに設置し,同機関による徹底的な調査を受け入れること,及び同調査結果を直ちに公表することを強く求めるものである。

2 声明の理由

 当連合会は,2014年3月29日及び30日に連続して死亡事件が発生したことを受けて,同年5月1日付けの理事長声明において,及び,同年9月26日に開催された定期弁護士大会において採択した決議において,並びに,同年11月22日に死亡事件が発生したことを受けて,同年12月25日付けの理事長声明において,法務省に対して,被収容者の死亡事故発生防止策(入管医療の改善・長期収容停止)を即刻講じることを求めるとともに,これらの死亡事件の真相を解明するための独立した第三者機関を直ちに設置し,同機関による徹底的な調査を受け入れること,及び同調査結果を直ちに公表することを求めた。
 しかし,法務省は,同年11月20日に,同年3月30日に発生した死亡事件についての独自の調査による調査結果を発表しただけである。
 入国管理局収容施設での被収容者の死亡事件は,病死であれ,自死であれ,これまで多数回繰り返されてきたのであり,2013年10月から2014年11月までの約1年間において4件の死亡事件が発生するという尋常ならざる事態が発生したのであるから,第三者機関によって事件の背景と真相を徹底的に調査し,その結果を公表しなければ,今後も悲劇が繰り返されてしまうことになるのである。
 そのことは,2014年11月20日に法務省が上記の調査結果の発表において不適切な対応を認めていたにも拘わらず,その発表の僅か2日後に,上記の11月22日の死亡事件が発生していることからも明らかである。
 それにも拘わらず,法務省が,第三者機関による調査を受け入れないのは,死亡事件を真摯に受け止めて,再発の防止に向けて改善するつもりはないものと言わざるを得ない。
 なお,当連合会は,今後も,上記4件の死亡事件について,第三者機関によって真相が解明され,それが公表されることを求めて活動を続けていくだけではなく,入国管理局収容施設において死亡事件が発生した場合に,同様に,第三者機関によって真相が解明され,それが公表されることを求める活動をしていくことを付言する。
 よって,当連合会は,上記4件の死亡事件について,法務省が,その真相を解明するための独立した第三者機関を直ちに設置し,同機関による徹底的な調査を受け入れること,及び同調査結果を直ちに公表することを強く求めるものである。

2015(平成27)年11月6日
関東弁護士会連合会
理事長 藤田 善六

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