関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

宣言・決議・意見書・声明等宣言・決議・意見書・声明等

平成28年度 声明

改めて消費者庁等の移転に反対する理事長声明

 平成28年9月1日における内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部」のとりまとめにおいては,消費者庁及び国民生活センター(以下「消費者庁等」という。)の本来的業務を地方には移転しないという結論を示した。
 すなわち,政府が消費者庁等の徳島移転を試行した結果,①消費者庁の主たる業務である消費者行政の司令塔としての業務をはじめ,国会対応,危機管理,法執行,制度整備業務等が実施できなかったこと,②国民生活センターの研修及び商品テスト業務の試行においては参加者のアクセスやテスト機材,保秘の維持等に課題を残したことが明らかになった。そして,上記とりまとめでは,試行の結果や課題等を踏まえて,消費者庁が行ってきた迅速な対応を要する業務,対外調整プロセスが重要な業務(国会対応,危機管理,法執行,司令塔機能,制度整備等)は東京で行うとの方向性を示した。
 当連合会は,移転の試行に先立って消費者庁等の地方移転に反対する理事長声明を発している。その理由として,地方移転が消費者行政全体の機能低下をもたらし,ひいては消費者全体の利益を損なうことをあげていた。上記とりまとめは,まさにかねてからの当連合会の意見を裏付けるものである。
 上記試行により消費者庁等の移転が不可能であることが明らかになった以上,政府は消費者庁等の本来的業務について地方移転を断念すべきである。当連合会は,上記とりまとめが当連合会の意見と同様の結論を示した点を高く評価し,ここに改めて,消費者庁等の移転に反対する意見を表明する。
 ただし,上記とりまとめが,徳島県に新たに「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」を設置して,3年後を目途に,同オフィスの取組の検証・見直しを行うという方向性を示した点は,注意深く見守っていく必要がある。同オフィスが具体的にどのような業務に取り組むのかは必ずしも明らかではないが,既に本来的業務を地方には移転しないという結論を示した以上,同オフィスが消費者庁等の本来的業務の地方移転に関する試行を漫然と実施する場となるようなことがあってはならないからである。
 以上,当連合会は,改めて,消費者庁等の移転に反対する意見を表明するとともに,上記とりまとめが示した同オフィスの設置が消費者庁等の一部機能移転につながることがないように今後の推移を引き続き注視していく所存である。

2016(平成28)年11月30日
関東弁護士会連合会
理事長 江 藤 洋 一

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