消費者庁が設置した「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」は,平成28年12月15日,最終報告書を公表した。
当連合会は,平成27年8月3日に「公益通報者保護制度に関する意見書」を発表し,公益通報を理由とする不利益取扱いを行った事業者等に対する罰則等の導入や,公益通報者の証拠の持ち出し等に対する民事責任及び刑事責任の免除等の公益通報者を保護する制度を導入するべきこと等を要望してきた。
本最終報告書は,刑事罰の導入について今後の検討課題とされ,証拠の持ち出しに対する刑事責任の免除制度について慎重に検討すべきとされているなど,当連合会の要望に照らすとなお不十分な部分が残されている。他方で,不利益取扱いを行った事業者等に対する勧告・公表等の行政措置を導入すること,資料の収集・持出行為の民事的免責につき通報者を保護する方向で検討すること,消費者庁が通報や通報対応に関する意見・苦情等を受け付けるための一元的窓口を設け,これを調査して必要な改善要請等を行うための法改正も含めた具体的な検討を行うこと等,通報者保護の実効性向上に資する提言も行われている。
よって当連合会は,消費者庁において今回の最終報告書を踏まえて,速やかに上記論点等についての具体的検討を行ったうえ,上記意見書で述べた刑事罰の導入を含む法改正を迅速かつ確実に行うよう改めて要望する。
2017(平成29)年1月19日
関東弁護士会連合会
理事長 江藤 洋一