東京高等裁判所管内の家庭裁判所の人的・物的体制の更なる充実強化を求める決議
- 1 最高裁判所は,
- (1)管内の家庭裁判所の本庁・支部・出張所の裁判官,調査官,書記官を大幅に増員すべきである。
- (2)東京高等裁判所管内の市町村において,司法を含む権利擁護支援の地域連携ネットワークを構築し,機能できるようにするために,必要とされる地域に家庭裁判所の支部または出張所を設置すべきである。
- (3)市町村が,地域に根ざした成年後見制度の利用促進に関する施策についての基本的な計画を定めるにあたり必要な情報を提供するように努めるべきである。
- 2 国は,成年後見制度利用促進基本計画が定める5年の工程表の終期である2021年度までに,市町村が成年後見制度利用促進の事業の成果を上げることができるよう,その事業に必要で利用しやすい財政措置を十分に講じるべきである。
- 3 すべての市町村は,司法を含む権利擁護支援の地域連携ネットワークを速やかに整備しその中核となる機関を構築し,成年後見制度利用促進のための基本的な計画を作成するとともに,必要な人が成年後見制度を利用できるよう成年後見制度利用支援事業や市町村長申立を活用し,併せて市民後見人の育成にも力を注ぐべきである。
- 4 都道府県は,市町村の区域を越えた広域的な見地から,市町村における成年後見制度利用促進の事業が国の事業を活用した形で行われるよう連携し,他方で,市町村の実情を踏まえてより利用しやすい支援・助成が制度の上でも額の上でも十分行われるよう国に要望し,家庭裁判所とも連携するなど成年後見制度の利用促進に主導的役割を果たすべきである。
- 5 国は,1項の諸施策のために必要な財政上の措置を速やかに講じるべきである。
- 6 当連合会は,成年後見制度の利用の促進に関する法律及び2017年(平成29年)3月24日に閣議決定された成年後見制度利用促進基本計画を会内に周知するとともに,家庭裁判所,関係行政機関及び地方公共団体並びに成年後見人等,成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者の相互の緊密な連携を確保するため,成年後見制度の利用に関する指針の策定その他の必要な措置を講ずることについて,その環境整備に努めるものとする。
2018年(平成30年)9月28日
関東弁護士会連合会