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宣言・決議・意見書・声明等
2020年度(令和2年度) 声明
入管法改定案に強く反対するとともに,国際法を遵守した抜本的な入管法改正を求める理事長声明
- 政府が,「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」(以下「入管法改定案」という。)を,2021年の通常国会に提出する予定であることが明らかになった。
- 入管法改定案は,法務大臣の私的懇談会である第7次出入国管理政策懇談会の下に設置された「収容・送還に関する専門部会」が2020年6月に取りまとめた「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」を踏まえ,①退去強制拒否罪の創設,②一定の難民認定申請者について送還停止効に例外を設ける措置の導入,③仮放免者逃亡罪の創設等を規定することが予定されている。
しかし,当連合会は,2020年7月27日,「収容・送還に関する専門部会提言に強く反対する意見書」を発出し,長期収容問題の解決にあたっては,在留特別許可制度の厳格に過ぎる運用・難民審査制度の不備・司法審査なき無期限収容などの入管・難民制度の不備をこそ,まず解消すべきであるとして,上記①~③の法制化について強く反対している。
にもかかわらず,当連合会は,入管法改定案が上記①~③の法制化を予定していることに対し,改めて強く反対する。
- また,入管法改定案は,退去強制令書により収容されている外国人等について,逃亡のおそれの程度等を考慮して,外国人を放免し,監理人による監理に付す措置である④「監理措置」を創設するという。
かかる監理措置制度は,解放対象となり得る者の範囲を,問題が多い現行の仮放免許可制度よりもいっそう絞り込み,かつ,解放された者と同人を支援する者への締め付けをより厳しくする機能を果たすおそれがある。
何よりも,監理措置は,現在の日本の違法な入管収容制度を前提としており,これを何ら改めるものではない。即ち,日本の現行の入管収容制度は,収容の可否・継続に関しての司法審査を経ずに全て出入国在留管理庁(以下「入管庁」という。)の判断に委ねられ,逃亡の危険などの収容の必要性を問わない原則収容主義である上,収容期間にも上限がないが,このような日本の入管収容については,2020年8月28日,国連恣意的拘禁作業部会が,「国際法違反の恣意的拘禁に該当する」と認める意見を採択し,国際法に明確に反していると認定している。これを受けて当連合会も,同年10月26日,「国連恣意的拘禁作業部会意見採択を受けて,日本の入管収容における全件収容主義及び無期限収容を直ちに廃止し,国際法を遵守するよう求める理事長声明」を発出した。
にもかかわらず,入管法改定案は,これらの意見・声明を全く顧慮していない。
したがって,当連合会は,④監理措置制度の導入にも強く反対する。
- 日本の国家機関は,これまで長く,建前としては国際法を尊重する姿勢を示すものの,実態としては国際法の遵守を軽んじてきたと言わざるを得ない。入管行政なかでも入管収容はその顕著な現れである。このままでは,日本が国際社会から真の敬意を受けることは難しい。
入管法を改正するのであれば,以下の点を改正し,国際法を遵守した抜本的な改正を行うべきである。
- 1 国際難民法の専門家によって構成される,入管庁・法務省から独立した難民審査認定機関の設置と,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発出する文書等,国際先例及び学術研究,殊に国際通説の成果を反映させた認定基準の採用。
- 2 在留特別許可につき,国際人権法(子の最善利益・家族統合の尊重を含む。)に明確に則った基準の設置,在留特別許可許否判断に恣意性を廃するための第三者機関の設置と再審情願の制度化。
- 3 入管収容については,必要性,相当性(又は合理性)を要件とする,事前及び定期的な司法審査を前提とする令状主義を確立し,収容期間に上限を付すること。
- 4 難民申請者らの住居支援を含めた生活支援措置(就労許可付与を含む。)の策定。
- 5 日本社会への定着性などを基準としたアムネスティ(日本への包括的な在留の特別許可)の実施。
- 入管法改定案を,適正な内容に改めることができるかどうかは,日本が今後,「国際社会において,名誉ある地位」(憲法前文)を占めることができるかどうか,そして,もちろん,社会に暮らす日本国籍と他のあらゆる国籍と無国籍の市民が安心して暮らすことができる日本社会にしていくことができるかどうかについての試金石である。
- 当連合会は,入管法改定案に反対し,その内容を上記のとおり改めるよう求めるとともに,改められない場合には廃案とするよう求めるものである。
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