関東弁護士会連合会は,関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

宣言・決議・意見書・声明等宣言・決議・意見書・声明等

2022年度(令和4年度) 声明

東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から12年を迎えるにあたっての声明

 本日、平成23年3月11日に発生した東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」といいます。)から12年を迎えました。あらためて犠牲者の皆様に哀悼の意を表すとともに、被災者・被害者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 当連合会は、発災直後より、被災者の支援のために関東弁護士会連合会支援統括本部を設置し、大規模避難所における面接相談会などを実施してきました。また、現在に至るまで一貫して、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の実施する福島県内各地での個別相談会への弁護士派遣を行っています。
 これに加え、当連合会は、国や地方公共団体、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」といいます。)に対する提言を行ってきました。
 令和4年3月、最高裁判所は、原発事故に伴う7つの集団訴訟について東京電力の損害賠償額に係る部分の高裁判決についての上告を棄却し、これらの訴訟の損害賠償額を確定させました。それを受けて、原子力損害賠償紛争審査会は、専門委員による各高裁判決の詳細な調査・分析を踏まえ、令和4年12月20日、中間指針第5次追補を発表しました。
 これにより、当連合会が求めてきた原発事故被害者に対する損害賠償請求支援の一部は改善されましたが、今回の追補は精神的損害に関するものが中心であり、財物賠償、営業損害賠償などは盛り込まれませんでした。当連合会は、さらなる賠償充実のために、調査改善を求めて参ります。
 このような原発事故被害者に対する復旧復興のための施策は、一定の改善も見られますが、それでも復興庁が令和4年12月13日に発表した避難者数は3万1000人を超えています。
 発災から12年という月日が流れたことによって、巷では東日本大震災や原発事故は過去のことという風潮が出てきています。しかし、現在も多くの被災者・被害者がいることを再度認識し、今も東日本大震災や原発事故の被害は続いていると認識すべきです。
 そして、私たちは、被災者・被害者一人一人に寄り添った災害ケースマネジメントを通じて生活再建支援に取り組む必要があり、その実現のために、不断の努力をすべきです。
 当連合会は、今後も、被災者・被害者の人権擁護のため、研鑽を積みながら、最後の一人になるまで被災者・被害者の方々に寄り添い、人間の復興を目指していきます。

 2023年(令和5年)3月11日

関東弁護士会連合会   
理事長 若 林 茂 雄

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