関東弁護士会連合会は,関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

宣言・決議・意見書・声明等宣言・決議・意見書・声明等

2024年度(令和6年度) 声明

東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から14年を迎えるにあたっての理事長声明

 本日、東日本大震災から14年目を迎えました。この間、多くの方々が震災の影響を受け続けており、犠牲者の皆様に哀悼の意を表し、被災者・被害者の方々に心よりお見舞い申し上げます。
 震災発生当初より、今日に至るまで、関東弁護士会連合会は、日本弁護士連合会等と協力し、電話相談や避難所での法律相談、原子力損害賠償に関する支援など、被災者・被害者が直面する法的問題に継続的に対応してきました。
 今年度、関東弁護士会連合会では、福島第一原子力発電所の視察を行いました。
 現在、福島第一原子力発電所では廃炉作業が進められています。廃炉には少なくとも40年以上の長い時間がかかるとされ、廃炉にかかる費用も未知数であり、原発事故は、将来の世代への負の遺産を残してしまいました。また、原発事故後、冷却のために使用された水や地下水が汚染され、タンクに保管されています。現在、約130万トン(2025年1月30日現在)の汚染水がタンクに貯蔵されており、浄化した上での海洋放出が始まっていますが、この処理水に起因する漁業関係者等の被害も続いています。
 また、事故後長期間が経過したことから、賠償請求を行わないまま亡くなった被害者の方々について相続が発生し、法的問題が複雑化するといった事態も多く生じています。
 このように、原発事故の影響は今なお、続いています。
 私たちは、法律の専門家として、被災者・被害者が直面する法的問題に対して適切な支援を提供する責任があります。賠償請求や生活再建に関する問題は特に重要であり、解決に向けて努力を続けます。
 また、震災から学んだ教訓を次世代に伝えることも重要です。震災からの年月が経つにつれ、社会的な風化が進んでいることを強く懸念しています。震災の記憶を薄れさせないために、絶えず情報発信を行い、震災の教訓を次世代に伝えていく必要があります。情報発信を続けることで、災害に対する備えや地域コミュニティの強化ができ、それが今後の防災対策に繋がっていきます。私たちは、弁護士として、特に法的な観点から地域の防災計画に関与し、安全な社会の実現に貢献していきたいと思います。
 私たち関東弁護士会連合会は、今後も東日本大震災の被災者・被害者のみならず全ての災害の被災者・被害者の権利擁護に全力を尽くし、復興支援に取り組み、被災者・被害者が安心して生活できる社会を実現するために、法律の専門家としての役割を果たし続けることを改めて誓います。

2025年(令和7年)3月11日
関東弁護士会連合会
理事長 菅 沼 友 子

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