【内容】
教育現場における法教育の現状や普及の問題点等を検証し,法教育普及のための戦略を詳述した,前作『これからの法教育』から過ぎること5年。
本書は,法教育の更なる普及を目指し,2011年に関東弁護士会連合会によって発表された指針「法教育指導要綱(案)」を基礎として,法教育を行うために理解しておくべき法や法制度,その背景にある基本原則や価値について丁寧に説明したものであって,これらを生徒に教える立場である教育関係者,法教育にかかわる全ての方々を対象としている。
法や法制度,その背景にある基本原則や価値は抽象的でイメージがわきにくく,その結果として生徒にも理解されにくいこともあると思われるが,本書では,法教育に精通した関東弁護士会連合会法教育センターの弁護士及び研究者が数年の月日をかけ,法や法制度,その背景にある基本原則や価値について平易な言葉で分かりやすく,その内容や関係性について解説しており,これらの理解の概念を理解するに当たって非常に有用な書籍といえるだろう。
【主要目次】
第1章 基本的価値・概念
Ⅰ 個人の尊厳
Ⅱ 平 等
Ⅲ 自 由
Ⅳ 公 共
Ⅴ 権力と権威
Ⅵ 正義あるいは公正
Ⅶ 責 任
Ⅷ 信 頼
Ⅸ 真 実
第2章 法
Ⅰ 法と道徳
Ⅱ 法の役割と重要性
Ⅲ 法と基本的価値・概念との関係
Ⅳ 法律の立法から改廃までの動的な過程
Ⅴ 法を評価する基準
Ⅵ 法的思考方法
第3章 憲法の原理と原則
Ⅰ 立憲主義と憲法の三大原理
Ⅱ 日本国憲法の三大原理
第4章 権力(国家)と民主主義
Ⅰ 権力(国家)
Ⅱ 民主主義
第5章 人 権
Ⅰ 個人の尊厳と基本的人権の尊重
Ⅱ 基本的人権の衝突と調整原理
Ⅲ 平等原則、平等権
Ⅳ 日本国憲法上の権利概観
第6章 紛争解決
Ⅰ 紛争と紛争解決
Ⅱ 紛争解決の方法
第7章 司法権
Ⅰ 司法権の内容
Ⅱ 法の支配と司法権の関係
Ⅲ 司法権と正義との関係
Ⅳ 司法権の独立
Ⅴ 違憲立法審査権
Ⅵ 裁判の公開
Ⅶ 国民の司法参加
Ⅷ 判決や和解の社会への影響
第8章 私 法
Ⅰ 市民生活における法(私法)
Ⅱ 財産・取引関係に関する法
Ⅲ 家族関係に関する法
第9章 民事紛争
Ⅰ 民事紛争の解決
Ⅱ 民事訴訟手続の概略
Ⅲ 民事訴訟の基本原則(当事者主義)
Ⅳ 真実発見・手続保障
第10章 犯罪と刑罰
Ⅰ 国家による刑罰権の行使
Ⅱ 犯罪と刑罰の意義
Ⅲ 責任主義
Ⅳ 罪刑法定主義の具体的内容
第11章 刑事手続
Ⅰ 被疑者・被告人の権利保護
Ⅱ 真実発見と人権保障
Ⅲ 刑事手続の概要
Ⅳ 刑事手続にかかわる当事者等
Ⅴ 刑事手続における基本原則
Ⅵ 裁判員制度
Ⅶ 再 審
終 章 法教育の意義と学習のあり方
Ⅰ はじめに
Ⅱ 各章で求められている基礎基本
Ⅲ おわりに
以 上