【内容】
関東弁護士会連合会平成14年度シンポジウム「子どものための法教育-21世紀を生きる子ども達のために」の開催に先立ち,同テーマについて調査研究した成果として出版された書籍。
法教育とは何か?法教育はなぜ必要なのか?アメリカではどのような法教育が行われているのか?アメリカでの法教育をどのように我が国に取り入れていくべきなのか?
まだ法教育という用語が定着していなかった当時の出版であり,法教育の概念等基本的事項から説き起こされている上,アメリカにおける法教育の内容についても詳細に記述されているなど,これから法教育に触れる方にとっても,既に法教育に携わっているものの基本的事項から整理してみたいという方にとっても,必携の書である。
生徒の現在の状況把握や「理想的な市民」の育成に欠けているものが何であるのかを分析するための一資料とすることを目的として実施された生徒対象アンケート結果とその分析内容(第2部第2章),当時の中学公民の各教科書について表層的な知識の羅列にすぎないと舌鋒鋭く分析している法教育に関する教科書の内容(第2部第3章)などは必見である。
【主要目次】
法教育へのオリエンテーション
Ⅰ 法教育の定義
Ⅱ 法教育の目的
Ⅲ 法的資質
Ⅳ 法教育の必要性
Ⅴ 法教育とは何か
第1部 アメリカにおける法教育
第1章 アメリカの法教育の概要
Ⅰ 民主主義教育・市民教育の伝統
Ⅱ 法教育の歴史
Ⅲ 法教育に関する5団体
Ⅳ まとめ
第2章 CCEに学ぶ法教育
Ⅰ CCEの概要
Ⅱ “Foundations of Democracy”の概要
Ⅲ 小学校低学年における授業風景
Ⅳ 小学校高学年における授業風景
Ⅴ 中学生用のテキストの紹介(手続的正義)
Ⅵ 高校生用テキストの紹介(権威)
Ⅶ “Project Citizen”
Ⅷ CCEのプログラムから学ぶこと
第3章 ABAに学ぶ法教育
Ⅰ ABAの概要
Ⅱ I’m the People
Ⅲ 模擬裁判のテキスト
Ⅳ ABAのプログラムから学ぶこと
第4章 CRFのテキストに学ぶ法教育
Ⅰ 概要
Ⅱ 手法
Ⅲ 構成
Ⅳ 教師用ガイド
Ⅴ テキスト
Ⅵ CRFの教材を紹介した意味
第2部 日本における法教育
第1章 日本の法教育がめざすもの
Ⅰ 日本における法教育の必要性
Ⅱ 日本の法教育の目標は何か
Ⅲ 「理想的市民」の具体的内容
第2章 法教育に関する生徒の意識
Ⅰ アンケートの目的と実施方法
Ⅱ アンケート(1)
Ⅲ アンケート(2)
Ⅳ アンケート(3)
Ⅴ アンケート(4)
Ⅵ まとめ
第3章 法教育に関する教科書の記述
Ⅰ 本章の目的
Ⅱ 知識面
Ⅲ 技能面
Ⅳ 意欲面
Ⅴ 教科書の分析を終えて
第4章 法教育に関する教師の意識
Ⅰ 座談会の目的と形式
Ⅱ 学習指導要領
Ⅲ 教科書,副読本
Ⅳ 公民的資質を身につけるための学習
Ⅴ 法に関する教育
Ⅵ 「アメリカ型」法教育について
Ⅶ 法教育を実施するうえでの問題点
Ⅷ 座談会を終えて
第5章 学校以外の主体が関わる法教育
Ⅰ 弁護士会の取組み
Ⅱ 弁護士会以外の取組み
Ⅲ 各民間団体の取組みに対する評価
Ⅳ 司法教育・消費者教育から法教育へ
第6章 日本で法教育を行うために
Ⅰ はじめに
Ⅱ どんな知識を教えるか
Ⅲ どんな技能を育成すべきか
Ⅳ どんな意欲を持たせるべきか
Ⅴ 法教育をどのように行うか
Ⅵ まとめ-大人が取り組むべきこと
終わりに
Ⅰ 子どものための法教育
Ⅱ 法教育のあり方・現状
Ⅲ 法教育に残された課題
Ⅳ 結語
以 上