【内容】
本書は,1990年頃のカナダ及びアメリカ合衆国における,小学生に対する法教育についての報告である。小学生に対する法教育の意義や方法が論じられており,具体的な実践例も提案されている。その内容からは,小学生に対する法教育が決して簡単ではないことが分かるとともに,実践に取り組む報告者の熱意が伝わってくる。
他国における取組みを報告する本書は,法教育の重要性が説かれている昨今の本国においても,非常に参考になる書籍である。そもそも小学生に対する法教育についての報告は,本国においても希少であり,価値の高い内容である。また本書は,その後も類書が出版されておらず,現在も価値は衰えていない。
本書は,小学生に対する法教育を内容とするものではあるが,法教育の在り方について深い考察がなされており,中学校や高等学校での法教育に関してもヒントにあふれ,大学の関連授業でも参考になる良書である。法教育に携わる多くの方々に手に取っていただきたい書籍である。
【主要目次】
はじめに ギャップを埋めること―法について語ろう
第1章 どうして小学校の授業で法を教えるのか?
第2章 市民参画のための教育―アメリカ合衆国における法に関わる教育
第3章 小学校の教室での対立解決
第4章 クラスのなかで民主制の諸原理を身につけること
第5章 物語劇を通して法を見る
第6章 同調圧力を、法に関わる文学作品を通じてコントロールする
第7章 小学校の教室で法を作ってみよう―単元計画―
第8章 ゲームと模擬実験を通じた法の経験
第9章 社会研究における批判的思考による問題対応と決定
第10章 法科学を通した法の探求
訳者あとがき
以 上