【内容】
本書は,法の専門家ではない方を対象に,裁判例を通じて,法の価値や法的な考え方を理解してもらうことを目的としたものである。人権の衝突,損害の公平な分担,立憲主義など,法の専門家でない方にイメージがわきにくい概念について,著名な裁判例を用いてわかりやすく説明した良書である。法教育的な視点から裁判例を解説しているという意味では,他に類をみない希少な書籍といえる。
本書はしがきにも記載されているが,本書は事案の概要や判決の中身が簡単にまとめられているため,読みやすく,また,授業においても授業時間の範囲内で本書を利用した法教育的な授業がしやすい適度なボリュームとなっている。法教育といっても,授業において具体的にどのように法の価値や法の考え方を伝えればよいか迷っている教育関係者の方などに是非利用して頂きたい。
【主要目次】
序 章 「正しいこと」は変化する
【非嫡出子相続分違憲無効事件】
第1章 私たちの生きる社会
・人と社会の関係を考える
【ブルドックソース買収防衛策事件】
・望ましいルールの基準について考える
【ロクラクⅡ事件】
・約束の意義を考える
【ゴルフクラブ会員権等存在確認請求事件】
第2章 対立する立場の調整
・人権の衝突について考える
【「石に泳ぐ魚」事件】
・損害の公平な分担について考える
【首長(くびなが)事件】
・契約と権利濫用について考える
【横浜商銀信用組合事件】
第3章 立憲主義
・基本的人権を考える(1)
【君が代起立斉唱拒否事件】
・基本的人権を考える(2)
【1票の格差事件】
・権力相互のあり方を考える
【朝日訴訟事件】
・国民の司法参加を考える
【裁判員制度合憲事件】
以 上