【内容】
本書は,法学者や教育専門家の視点からの法教育の理論書である。
法教育黎明期における書籍であり,第1部「現代日本と法教育」における江口勇二筑波大学教育学系助教授(当時)「法教育の理論-日本型法教育の素描」では「現代における法教育とは何か」,「法教育の目標とは何か」,「法教育の内容とは何か-法を知る」,「法教育の方法とは何か-法の使い方を学ぶ」,「なぜ法教育は大切なのか-むすびに代えて」が論じられているなど,法教育の基礎的な部分から説かれている。
高等学校における公民分野の教科書において人権論と統治機構論が分けて記述されているために,基本的人権と統治機構の有機的な関連を見失わせている,市民が権利を実際に行使し司法制度を利用して自らの基本的事件を確保していくために役立つ授業造を阻害している,基本的人権や統治機構の存在が自分自身のためであると生徒が捉えることができないものとなっている,といった指摘は現在でもなお当てはまるものとなっている。
これから法教育に取り組もうという方だけでなく,既に法教育に携わっているもののどのように法教育を捉えるか整理されたい方に有益な書であるだけでなく,公民分野にたずさわるすべての教育関係者ににとっていただきたい書である。
【主要目次】
● 新しい法教育の基盤と方向
第1部 現代日本と法教育
● 法教育の理論-日本型法教育の素描
● 司法・裁判システムに関する教育
● 人権教育論の課題
● 中学校における新学習指導要領と法教育
● 高等学校における新学習指導要領と法教育
第2部 法教育の実践的展開
● 弁護士が「学校へ行こう」
● 学校と司法書士
● 少年非行と少年法
● 家庭科教育と法律-生活の中の法律
● 憲法を実践する法律家養成のなかで
● 教員養成学部における法教育担当者養成の試み
第3部 諸外国の法教育
● アメリカにおける法教育の到達点から学ぶ
● 韓国の法教育の現況と展望
● 台湾における法教育
第4部 法教育に関する資料
新学習指導要領に示された「法教育」
司法制度改革のなかで触れられた「法教育」
● あとがき
以 上