【内容】
高等学校における新科目「公共」については,2018年3月に学習指導要領が告示された。2019年度以降,順次,教科書検定⇒採択・供給⇒使用開始という流れとなるよう移行期間が設けられており,2022年度から年次進行で同要領が実施される見通しとなっている(「公共」の概要等については,「平成29年度 法教育センター夏季合宿報告(「公共」について)」をご覧いただきたい。)。
本書は,従来の「現代社会」の反省に立ちつつも,学校現場の多忙化を踏まえ,無理のない「現代社会」から「公共」への移行をはかるべく,これまでの学校現場の文化を尊重した上で,「公共」の授業をどのように設計すればいいのかを提言するとともに,「公共」の授業にふさわしい授業実践例等を紹介するものとなっている。
「公共」の学習指導要領の求める「主体的・対話的で深い学び」をどのように構築するかという課題は,これまで法教育に携わってこなかった方はもちろん,これまで携わってきた方であってもかなりの難問であるが,本書はその難問解決のためのイメージづくりに役立つと思われる。
【主要目次】
第1章 「公共」の授業の創り方
1 学習指導要領の重要ポイント
2 「公共」の授業をどう設計すれば良いか
・見方・考え方を鍛える授業をどう創れば良いか①
・見方・考え方を鍛える授業をどう創れば良いか②
:公正に判断する力を養う授業との関連
・議論する力を養う授業をどう創れば良いか
・合意形成,社会参画を視野に入れた授業をどう創れば良いか
・外部連携を視野に入れた授業をどう創れば良いか
・中学校社会公民的分野との接続を意識することの重要性
第2章 「公共」の教材づくりと授業モデル
1 公共の扉
1 帰結主義と非帰結主義
2 人間の尊厳と平等
3 個人の尊重,民主主義,法の支配
4 自由・権利と責任・義務
2 自立し主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち
・「理解」を目標とする授業①法的主体となる私たち
・「理解」を目標とする授業②政治的主体となる私たち
・「理解」を目標とする授業③経済的主体となる私たち
・「思考力,判断力,表現力」等の育成を目標とする授業
3 持続可能な社会づくりの主体となる私たち
・地域の創造の視点からの授業
・よりよい国家・社会の構築の視点からの授業
・平和で安定した国際社会の形成へ主体的に参画し,共に生きる社会を築く視点からの授業
おわりに
以 上