【内容】
「いじめ」「LGBT」「障害」「貧困」・・・学校で、このようなテーマについての対応を求められたら、どうすれば良いだろう。
いずれも、学校で既に対応を求められているのではないだろうか(今、顕在化していないのであれば、それは「問題が隠れているだけ」なのかもしれない)。
本書は2010年に発刊された「教室から学ぶ法教育」の第2弾である。前書では、掃除当番、日直、部活などの具体例をとおして、日常の学校現場で役立つ法的思考を紹介していた。本書では、近年、より大きな社会問題となってきている前述のテーマなどを例に、学校現場で役立つ法的思考を紹介している。
本書を読んで、そのテーマが法的にどう整理されるのか、法的にはどのような方向で解決することが適切なのかを知ることで、目の前のテーマに正面から向き合って、改善策を考えていくことができるようになるだろう。日々、子どもたちと過ごしている全ての方にとって、参考になる本である。
本書では「教員の人権」も取り扱っている。子どもたちを大切にするためには、子どもたちに接している人も大切にしなければならない。子どもも大人も、学校に関わる一人ひとりが大切にされること、それが、一人ひとりを大切にする社会につながるはずである。
【主要目次】
1.あるべき校則とは
[解説]校則で髪型の自由を制限することの問題点
1 「校則」の定義等
2 幸福追求権の内容
3 髪型の自由に関する裁判例
4 髪型の自由の制限が許されるかどうかの判断枠組み
5 民主的手続
2.民主的な結論の出し方
[解説]民主主義
1 民主的な決め方
2 理想は全会一致
3 本事例について
4 まとめ
3「.いじめ」はあったかなかったか
[解説]いじめ防止のための方策
1 「いじめ」はいけないこと
2 いじめ問題に対応する視点 1――判断基準
3 いじめ問題に対応する視点 2――行動手順
4 いじめ防止対策推進法の定め
5 本事例について
4.宗教行事と多文化共生
[解説]信教の自由と政教分離
1 日本国憲法における信教の自由・政教分離と教育基本法15条
2 本事例について
5.センシティブな問題を抱えるマイノリティ
[解説]個人の尊厳
1 LGBTとは
2 SOGIという概念
3 LGBTの子どもの実態
4 学校現場でできること
5 本事例について
6.障害がある子どもへの配慮
[解説]合理的配慮
1 平等と差別
2 多様性とインクルーシブ教育
3 本事例について
4 まとめ
7.子どもの貧困をどうするか
[解説]平等の考え方と配分的正義
1 平等についての法的な考え方
2 学校教育における平等のあり方
3 「合理的な配慮」という考え方
4 本事例について
5 相対的貧困、社会的排除について
8.教師の人権
[解説]学校教育の役割
1 教育とは
2 家庭教育
3 社会教育
4 学校教育
6 本事例について
7 すべての者の権利が守られる学校に
教員の新しい“働き方様式”のために:上越教育大学 中平一義
1 はじめに
2 教員の働き方の実態
3 教員の働き方の歪み
4 教員の働き方改革の内容と課題
5 おわりに――“ナショナル・ミニマム”に対する国民的議論の必要性
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
以 上