被告人が,数か月前にレストランを辞めさせられたことに腹を立て,そのレストランの所在する建物を放火した現住建造物等放火罪で起訴されたものの,被告人は自分は犯人ではないとして争うというシナリオ。
このシナリオでは,被告人が犯人であるかどうかという点が争点となります。
検察官が掲げる主な証拠には以下のものがあります。
このシナリオのもと,法教育センターの委員が裁判長と被告人・証人を演じ,参加した教員は,「検察官」「弁護人」の2チームに分かれて,それぞれ模擬裁判シナリオに沿って「冒頭陳述」「証拠調べ」「証人尋問」などを担当。
その後,検察官チームは「論告求刑」を,弁護人チームは「最終弁論」を起案して,法廷でお互いの主張をぶつけ合うという内容になっています。
事実を拾い上げて,論理的に組み立て,相手方の主張を意識しつつ,説得力のある主張を展開することが求められることから,学校現場でよくおこなれている「裁判員になったつもりで判決を考えよう」というプログラムに比べてより高度の技能が要求されます。
刑事模擬裁判が,司法制度の学習にとどまらず,子どもたちの思考の訓練,視野の拡大,表現力とりわけ人を説得する技術の向上など,様々な法教育的効果を期待できるのではないかというところまでつなげることを期待しています。