これまで実施されている模擬裁判の大半は,被告人が無罪を争う事案について生徒に事実認定の実際を体験してもらうというものですが,本教材は,被告人は有罪を認めていて,量刑(執行猶予の有無)のみが問題となる事案における模擬裁判教材となります。
まず冒頭にて,事件を報道したニュース記事を読んでもらった上で,模擬裁判を実演します。
この教材においては,通常の模擬裁判と異なり,起訴状段階,検察官立証段階,弁護人立証段階と段階ごとにいったん劇を止め,その時点での犯罪や被告人に対する印象を確認しながら劇を進めていくことに特徴があります。
これによって,事件当初に報道で伝えられることが必ずしも正確な事実や被告人本人の弁解を反映しておらず,最終的に立証される事実とは一致していないこと,裁判における弁護人の立証があって初めて事実の全容が明らかになることもあるといったことが伝わるようになっています。
そして,司法(裁判)における弁護人の役割についても考えられる教材となっているほか,刑罰制度の存在意義,刑事裁判の役割といった方向に授業を広げることも可能な教材となっています。