弁護士偏在問題対策委員会 委員 笹森 真紀子(第二東京弁護士会)
2024年11月29日、関弁連主催、日弁連共催により、修習予定者の皆様を対象とした「ひまわり基金法律事務所見学バスツアー」が実施されました。
当バスツアーは、弁護士を志望される修習予定者の方に「ひまわり基金法律事務所」(公設事務所)等への訪問を通じて、公設事務所の活動内容についてご理解をいただくとともに、公設事務所等への赴任、弁護士過疎地域での就職・開業について関心をお持ちいただくために実施しているものです。
今回のツアーでは、東京・霞が関の弁護士会館に集合した上で、静岡県熱海市の「熱海簡易裁判所・静岡家庭裁判所熱海出張所」、「熱海法律事務所」及び静岡県伊東市の「弁護士法人Kアライアンス法律事務所(元・伊東ひまわり基金法律事務所)」をバスで訪問し、見学しました。
今回のバスツアーには、5名もの修習予定者にご参加いただきました、いわゆる弁護士過疎地への赴任や開業に興味がある方々にご参加いただき、大変うれしく思いました。
バスツアーには、関弁連弁護士偏在問題対策委員会から、委員長、副委員長1名、委員4名が参加しました。委員のうち高山委員長と東端委員は、現地からの参加となりました。静岡県まで向かう道中では、参加者同士で自己紹介をして親睦を深めつつ、参加者からの質問に答える形で、ひまわり基金法律事務所の魅力・やりがいについて話が弾みました。また、川辺委員からは、川辺委員が赴任していた新潟県糸魚川市のひまわり基金法律事務所での成年後見やスクールロイヤーなどの経験を詳細にお話しいただき、ひまわり基金法律事務所での具体的な活動をより知ることができたのではないかと思います。移動時間にバスの中で懇親を深めることができるのもこのツアーの魅力だと感じました。
静岡県についた後は、高山委員長の案内で、熱海簡易裁判所・静岡家庭裁判所熱海出張所を見学し、静岡地方裁判所下田支部の川崎慎介裁判官のお話を伺いました。川崎裁判官は、この日は、静岡家庭裁判所熱海出張所の開廷日ということで、同所にいらっしゃいました。
川崎裁判官は、修習予定者の質問に答える形で、裁判官の立場から静岡地裁下田支部の状況や静岡家庭裁判所熱海出張所でのことについてお話をいただきました。川崎裁判官の話では、下田支部は高齢化が進んでおり、成年後見や遺産分割事件などの事件が多く、弁護士が地域を支えていると実感するという話が印象に残りました。
その後、高山委員長の案内で「熱海法律事務所」を見学し、高山委員長からお話を伺いました。熱海市内の弁護士は高山委員長一人であり、熱海市内での弁護士活動の様子を教えていただきました。成年後見の件数が多く、なかなか成り手がいないなどの課題もお話いただきました。
最後に、東端克博委員の案内で、弁護士法人Kアライアンス法律事務所を見学し、お話を伺いました。
東端委員は、初代所長として伊東ひまわり基金法律事務所に赴任し、その後、伊東市に定着されました。応募、赴任から開所、定着までの道のりから、現在の執務状況に至るまでざっくばらんにお話しいただきました。また、赴任した当時の経営状況に関することについても、具体的にお話いただきました。修習予定者にとっても、ひまわり基金法律事務所を実際に見学し、ひまわり基金法律事務所や弁護士過疎地域で働くことについて、より実感できたのではないかと思います。
バスツアー終了後には、参加者の修習予定者からアンケートやお礼のメールをいただきました。参加者からは、自身が司法過疎地で働く具体的なイメージができたことや有意義で楽しい時間を過ごすことができたとの感想をいただきました。今後も、公設事務所の魅力を伝えていく活動をしていくことが肝要であると感じました。
ご協力いただいた裁判所の方や先生方はもちろん、このような機会を調整してくださったすべての方に感謝いたします。
熱海法律事務所にて
弁護士法人Kアライアンス前にて