関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

弁護士偏在問題~ひまわり~弁護士偏在問題~ひまわり~

支部等調査報告

「2023年度第2回支部等調査(埼玉県寄居町及び小川町)」のご報告

弁護士偏在問題対策委員会副委員長 中川 裕一郎(千葉)

  1.  弁護士偏在問題対策委員会では、関弁連管内の弁護士の少ない支部等を中心に、年2回程度、当地の裁判所、検察庁、法律相談センター等の訪問や弁護士会等との協議会を行っています。
     今回は、2023年度の第2回調査として、2024年2月15日に埼玉県の小川町役場と寄居町社会福祉協議会を、翌16日に寄居町役場と寄居町商工会を訪問しました。
     弁護士がいない市や町に訪問し、その自治体の方々と協議を行うと、大概二つの反応に集約される印象があります。一つは弁護士の必要性や有用性を解っており、その上でその地域に今現時点で必要なリーガルアクセスについての具体的な意見を持っている自治体で、もう一つは弁護士自体の必要性をあまり感じていないと回答する自治体です。そしてその違いに着目すると前者は、社協等を通じてその県の弁護士会と密に連携がとれている状況が程度の違いこそあれ確認出来るのに対し、後者は弁護士会との連絡やアクセスが殆ど無いとの印象を受けます。
     勿論、後者の自治体の中にも顧問の弁護士がいて、弁護士自体がどのような役割を果たしているかをある程度認識しているといった自治体もありますが、それでも協議を突き詰めてゆくと、弁護士という存在の必要性や有用性をまだまだ認識して貰えていないなと感じる事が多いです。
  2.  今回の調査もまさに、弁護士の存在意義、というものがあまり理解をしてもらえていないとの印象を受けるものでした。小川町役場では弁護士による月1回の無料法律相談会に加え、司法書士や行政書士による相談会を開催しているものの、弁護士による相談会の充足率は68%と自治体相談としてはそこまで高くないことから、この原因を伺ったところ、相続事案や離婚事案は弁護士ではなく、行政書士相談に回しているから、というものでした。調査に参加した委員から非弁の問題や、権限の問題といった点を説明し、適切なリーガルアクセスの為にはまずは弁護士相談を受けて頂きたい旨お願いし、ご了解を頂きましたが、弁護士が存在しない地域では、こうした他士業間での境界が認知されておらず、その振り分け基準が窓口担当の方の「感覚」に委ねられていることが多々あります。市民の適切な司法アクセスの為に、弁護士会自体がもっと積極的に守備範囲をアピールし、「まずは弁護士に」との認知を広める努力が必要だと痛感させられました。
  3.  初日の調査を終えて、寄居町の料理店に移動し、そこで埼玉弁護士会との懇談会が行われました。前会長の白鳥先生や、熊谷支部の五十川支部長をはじめ同弁護士会で活躍される多くの先生方にご参加頂き、今回調査した自治体の現状や市民へのリーガルサービスの拡充について活発な意見交換が行われました。特に昨年秋に寄居町で開業された門脇清先生にもご参加頂いたため、寄居町を含む同地域でのご活躍を期待する声が多く上がりました。
  4.  熱い議論の後はおまちかねの懇親会です。美味しい料理とお酒、先ほどまでの真剣な議論の雰囲気から一変した各先生方のユニークなご挨拶があり懇親会は大いに盛り上がりました。
  5.  翌日は早朝にホテルを出て、走って鐘撞堂山(かねつきどうやま)を登ってきました。勿論私一人であり、他の委員は誰も行きません。町全体を見渡す頂上の素晴らしい眺望を独り堪能した後、寄居町役場と寄居町商工会へ訪問、2日目の調査として懇談会を行いました。寄居町役場では弁護士相談の充足率が非常に高く、今後は相談日数を増やしたいとの声が聞かれました。予算的な問題は有れどニーズがある以上、それに応えていくことが弁護士全体の使命ではないかと改めて思わされました。
  6.  2日とも天候に恵まれ非常に充実した調査となりました。埼玉弁護士会の先生方、各訪問先の皆様、ご協力頂き誠に有難うございました。この場をお借りし御礼申し上げます。
写真1

(小川町役場前にて)

写真2

(懇親会の様子(偏在委員会の愉快な仲間達))

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