関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

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支部等調査報告

「2024年度第1回支部等調査(新潟県阿賀野市及び五泉市)」のご報告

弁護士偏在問題対策委員会委員 島田 和彦(栃木県)

  1.  はじめに
     弁護士偏在問題対策委員会では、関弁連管内の弁護士の少ない地域の実情を調査するため、年2回、現地を訪問し、裁判所や行政機関、商工会、弁護士会等と意見交換を行っています。
     今回訪問した新潟県は、都道府県で第5位の面積、南北の長さが250kmにも及び、精力的に弁護士過疎・偏在問題について取り組んできました。2005年から2020年にかけて、計13箇所の公設事務所・公的支援を受けた事務所が開設されています。
     しかし、まだ、阿賀野市、五泉市には弁護士がいないことから、2024年度の第1回調査として、11月14日に阿賀野市、翌15日に五泉市を訪問しました。2001年度の第1回調査から数えて41回目、新潟県では、佐渡、村上、糸魚川、妙高に続き、5回目にあたります。
     両市とも新潟市の中心部まで車で40分程度ですが、阿賀野市は新発田支部、五泉市は本庁の管轄となっています。
  2.  調査1日目
    (1) 阿賀野市役所、社会福祉協議会、商工会
     阿賀野市は新潟市の東に隣接し、人口3万9千人、数千羽の白鳥が飛来する瓢湖があります。同市では、市民の弁護士アクセスのため、月2回、年間144枠の無料法律相談や生活に困っている方がいれば、すべて「暮らしサポートセンターあがの」につなぎ、弁護士を紹介するという仕組みを整えています。とはいえ、地元の弁護士と近くで顔が見える関係を築き、気軽な相談や訪問相談、商工会との連携、専門職後見業務などに対応いただければとてもありがたいとのことでした。
    (2) 新潟県弁護士会
     佐渡ひまわり基金法律事務所初代所長ののち、県北の村上市に事務所を開設された佐藤克哉弁護士から、県弁護士会の弁護士過疎・偏在問題の取り組みについて説明いただきました。柏崎市、糸魚川市は市が開業資金を補助したこと、村上市、五泉市、阿賀町は弁護士会と協定を結び、市町の施設の中に法律相談センターを設置して、週1回の無料法律相談会を実施していること、家裁出張所に裁判官が出張しない運用を改善させる取り組みなどについて熱く語っていただきました。
  3.  調査2日目 五泉市役所、商工会議所
     五泉市は新潟市の南東に隣接し、人口4万7千人、150万本のチューリップの花の絨毯が有名です。同市では、市の施設内で週2回、「法律なんでも相談」を行い、弁護士が年間200枠以上の相談を受けています。しかし、初回相談は市内で行っても、以降は新潟市に出向く必要があって、まだまだハードルが高く、弁護士に近くにいてもらい、空き家、消費者、高齢者、専門職後見人などの問題に対応いただければとのことでした。
  4.  阿賀野市で開業予定弁護士の参加
     今回、初めての試みとして、阿賀野市で2025年4月に開業予定の渡邊悦子弁護士がオブザーバーとして参加されました。同弁護士は、東京都内で勤務されていましたが、仕事で訪れた新潟県に魅了され、日弁連の偏在対応女性弁護士助成制度を利用できる阿賀野市で開業する決意をされました。
     今回の調査に同行して、阿賀野市の状況の把握、事務所の物件探しや今後の仕事の方向性に役立つ情報、新潟県弁護士会の先生方との交流など、とても有意義な機会となったと感謝されていました。
     訪問先各所では、同弁護士の開業に大きな期待が寄せられていました。今後の調査でも、弁護士過疎地で開業を検討される弁護士を同行できればと考えています。
  5.  終わりに
     これまで弁護士偏在解消に大いに尽力されてきた新潟県でも、まだまだ需要があることがわかり、充実した調査となりました。また、宿泊した五泉市の「望川閣」は、硫黄泉のかけ流しのお風呂が素晴らしく、美味しい料理、お酒で心ゆくまで懇親できました。
     最後に、ご協力いただきました新潟県弁護士会の先生方、各訪問先の皆様に心から御礼申し上げます。
写真1

(阿賀野市役所にて)

写真2

(五泉市役所前にて)

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