平成25年度シンポジウム委員会
事務局長 深澤 勲(山梨県)
平成25年9月27日(金)午前10時より,山梨県甲府市の甲府富士屋ホテルにおいて,「地方議会改革-アンケート・現地調査からみえてきた現状と展望-」をテーマとして,平成25年度関弁連シンポジウムが開催されました。当日は,栃木敏明理事長の開会挨拶のあと,各地の地方議会関係者など123名の一般参加者を含む617名の参加者を得て,山縣秀樹副委員長(第一東京)の司会のもと,基調報告と基調講演,パネルディスカッションの3部構成でシンポジウムが行われました。
土橋順委員(山梨県)より,アンケート調査・現地調査の結果や,委員自身の議会傍聴の経験を踏まえた報告がなされました。議会の本来的な役割として,議員間での自由討議が行われることの重要性や,これを議会基本条例等で制度化することの意義などが指摘されたほか,各地で議会報告会等の取組みが積極的に行われていることが報告されました。
谷田部亘副委員長(茨城県)より,各地における近時の住民投票の動向のほか,住民投票と地方議会との関係について,報告が行われました。住民投票と議会とが相互補完関係にあること,住民投票を機能させるために議会に求められる役割,常設型住民投票条例制定の意義などを丁寧に分析した,積極的な内容の提言がなされました。
東海林正樹副委員長(第二東京)より報告がありました。アンケート調査や現地調査の結果から,特に町村議会において議会事務局職員数が絶対的に不足しているという現状認識が示されたうえで,主に議会の政策法務機能を強化する方策として,議会事務局の共同設置をはじめ,政策法務機能のアウトソーシング,条例のデータベース化といった,法律実務家としての示唆に富んだ提言がなされました。
村山勇輔委員(第二東京)により,議員報酬に関する報酬日額制の紹介や,民間新聞を活用した広報コスト削減の事例報告,弁護士・弁護士会を活用することによる事務局機能充実化の提言がなされました。地方議会の置かれている現状を踏まえた議論をすることで,今回の報告や提言全体が,単なる理想論を超えた,より現実的・実際的なものとなったのではないかと思います。
片山善博氏(慶應義塾大学法学部教授,元総務大臣,前鳥取県知事)より,「議会改革のミッションと『市民に開かれた議会』」と題して,基調講演をいただきました。
議事機関として「決める」ことに重きを置いた議会運営が行われることの重要性を指摘されたほか,議会が持つチェック機能の意義や執行部依存からの脱却,「議員本位」の議会運営から「議題本位」の議会運営への移行といった点に触れられておりましたが,これらはまさに当委員会内で重ねられてきた議論と方向を一にするものでありました。
田邊護副委員長(山梨県)と八巻佐知子委員(同)をコーディネーターとし,片山氏のほか,山梨学院大学法学部教授江藤俊昭氏,甲府市議会議員(前同議会議長)佐藤茂樹氏,東京財団研究員(元北海道栗山町議会事務局長)中尾修氏の4名のパネリストによるディスカッションが行われました。
議員間での自由討議の重要性,議会事務局の役割やその機能の充実化,議会改革に法曹として果たすことができる役割といった論点について,熱心な議論が交わされ,大変意義深いパネルディスカッションとなりました。
閉会の挨拶として,山梨県弁護士会東條正人会長より,今回の基調報告やパネルディスカッションを踏まえた総括がなされ,本シンポジウムは締めくくられました。また,シンポジウムに引き続いて行われた定期大会においては,「地方議会~議事機関としての原点回帰とさらなる活性化をめざして」と題する宣言案が,水上浩一委員長(山梨県)による趣旨説明とその後の討論を経て採択され,議会活動の活性化に向けた取組みに,我々弁護士や弁護士会も積極的に携わっていくとする当連合会としての決意が表明されました。