関東弁護士会連合会は、関東甲信越の各県と静岡県にある13の弁護士会によって構成されている連合体です。

シンポジウムシンポジウム

平成29年度 将来の災害に備える平時の災害対策の重要性

平成29年度シンポジウム委員会
委員長 渥美 利之(静岡県)

写真:平成29年度関東弁護士会連合会シンポジウム

1  多くの方々のご尽力,ご協力のもと,平成29年度の関東弁護士会連合会のシンポジウム(以下「本シンポ」といいます。)が予定どおり平成29年9月29日に沼津市内の「プラサヴェルデ」で開催され,無事終了しました。テーマは「将来の災害に備える平時の災害対策の重要性」でした。担当会の静岡県弁護士会が,災害対策活動に精力的に取り組んでいることもあって,同テーマが選定されました。

 本シンポの参加者は,関弁連定期大会の実行委員会に公式集計を確認したところ,639名とのことでした(地元関係者の間では,未カウントの参加者を含めれば700名以上であったと言われております。)。各方面から「大成功であった」との労いの言葉をいただきました。

 本シンポの委員は総勢57人(サポート委員7人を含む。)の大所帯でしたが一丸となって取り組んでいただきました。1年間に及ぶ準備期間中,各委員から不満の声を聞くことはありませんでした。また,12回にわたって開催した準備委員会の委員出席率は80~85%前後に達しました。周りの方々からも,「非常にまとまりの良い委員会である。」とのお言葉をいただきました。このような委員を選任していただきました,関弁連所属の各弁護士会に心から御礼を申し上げたいと思います。
 本シンポ準備委員会の部会編成は以下のとおりでした。

 第1部会(統括部会)部会長 倉本義之
 第2部会(行政等連携部会)部会長 後藤真理
 第3部会(士業団体等連携部会)部会長 髙岡信男
 第4部会(ボランティア団体等連携部会)部会長 服部政克
 第5部会(企業等連携部会)部会長 中野明安
 第6部会(自治会・町内会等連携部会) 部会長 廣瀬健一郎

 第2部会から第6部会の活動内容は,報告書にまとめ,本シンポ当日に配付しました。なお,第1部会の統括部会は,委員長を補佐し,委員会の活動計画の立案,全体委員会で議決された同計画遂行の連絡・調整,進捗状況の確認,各部会の原稿の督促・チェック,報告書の編集・統括,シンポ当日の基調講演及びパネルディスカッションの連絡調整・準備等をすることを目的として設けた部会です。同部会の存在なくして,本シンポの準備は整わなかったと言っても過言ではありません。
 また,上記報告書をまとめるにあたりましては,以下の被災地視察を実施致しました。

(1)熊本視察
    日時・日程:平成29年2月26日(日)~28日(火)
         2泊3日
    視察先:熊本市及び益城町

(2)仙台・盛岡視察
    日時・日程:平成29年4月13日(木)~15日(土)
         2泊3日
    視察先:仙台市・山元町・石巻市及び盛岡市

2 本シンポの内容は以下のとおりです。

(1)成果物の配付
 1年間に及ぶ準備活動の成果は,570頁を超える報告書にまとめ,以下の「お持ち帰りグッズ」とともに,同日,配付致しました。
 報告書には,前記第2部会から第6部会の研究成果がまとめられております。
 これらの成果物は,多方面から高評価を得,本シンポ終了後,100部単位で入手の希望が寄せられるなどしたため,急遽増刷の準備に入っております。しかし,何分,無償であり且つ関弁連の予算の中での増刷ですので,増刷数が限られます。また,「お持ち帰りグッズ」については,災害時の支援活動の手持ちグッズとして利用していただくため,各弁護士会において,その名と責任において内容改定と印刷することにつき,関弁連から承認していただいております。

報告書本体(PDF・31MB)
ポケット型リーフレット「被災者支援チェックリスト」(PDF・827KB)
 ※本チェックリストデータはシンポジウムにおける配布後,2019年1月時点の情報に更新しています。
小冊子「災害ボランティアにおける法律問題Q&A」(PDF・966KB)
クリアファイル「事業継続計画-BCP-でいのちが繋がり事業が繋がる」(PDF・4.15MB)
小冊子「事業継続に求められる企業の安全配慮義務と安全対策」(PDF・1.3MB)

(2)基調講演
 本シンポのテーマを踏まえた基調講演を室﨑益輝教授(神戸大学名誉教授,兵庫県立大学防災教育研究センター長)にお願いしました。
 室﨑教授は我が国における災害対策の第一人者ですが,講演では,事前減災という視点に基づき,将来の大規模災害において,法制度及び被災者支援の両面から,どう向き合うべきかについて,貴重なお話をしていただきました。現在,その講演内容を反訳・記録化する準備を進めております。

(3)パネルディスカッション
 基調講演後,本シンポのテーマを踏まえたパネルディスカッションを行いました。
 コーディネーターは,本シンポ委員会の委員である中野明安弁護士(第二東京)と葦名ゆき弁護士(静岡県)に担当していただきました。パネリストには,前記室﨑益輝教授,岩田孝仁教授(静岡大学防災総合センター),小村隆史准教授(常葉大学社会環境学部社会環境学科)及び津久井進弁護士(日弁連災害復興支援委員会委員長 兵庫県弁護士会)の4人にお願いしました。
 岩田教授は,長年静岡県職員として勤続され,この間,静岡県災害対策士業連絡会に静岡県を代表して参与として出席いただいていた方です。小村准教授は,地域防災,防災教育,防災ボランティア,企業防災などの分野において活躍されている方です。津久井弁護士は,現在日弁連災害復興支援委員会の委員長であり,弁護士会においては災害の第一人者として活躍されている方で,災害関係の著作も多数執筆されております。
 聴取者からも,「非常に面白かった」「すごくよかった」などと大変な好評をいただきました。特に,救済,復興をめぐる被災者の総意形成において,被災住民間に修復し難い意見の対立が生じてしまうことがあることなどをお聴きし,問題の深刻さを改めて痛感した次第です。パネルディスカッションの内容につきましても,現在,反訳・記録化する準備を進めております。

3  1年間の準備作業は,確かに大変な時間と労力を要しました。しかし,関弁連のおかげで,弁護士人生における貴重な経験をさせていただきました。巷でよく言われる「大変なこと,苦しいことにこそ知恵がある。」ということを実感した1年でした。
 最後に,この場をお借りして,関弁連,静岡県弁護士会,本シンポ委員の皆様,本シンポにご協力,ご支援を賜りました関係各位に対しまして,心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。

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