「法の支配」(rule of law)と「法治主義」(rule by law)という言葉はよく似ているが、その意味は少し違う。
両者は、権力の行使は「法」によって統制されるべきであるとし、権力者による恣意的、独裁的な支配(「人の支配」)を防ぐことを目的とした概念であるという点で共通している。
他方で、「法」の意味については、「法治主義」が実際に制定された「法律」を意味しているのに対し、「法の支配」は制定法を超えた高位(上位)の規範を意味している。
そのため、かつての法治主義(形式的法治主義)は、形式的に「法を守る」こと―(法律の内容が適正であるかを問わず)権力の行使が法律に基づいてさえいればよいという考え―が重視され、ファシズムの台頭を許す結果となった。そのような反省から、現代の法治主義(実質的法治主義)は、権力の行使が法律に基づくことに加え、その法律の内容あるいは法執行の手続が適正であることを要求しており、「法の支配」の概念に近づいてきている。もっとも、「法の支配」にいう「法」が制定法を超えた高位の法規範―「正しい法」―を意味すると言ったところで、何が「正しい法」であるかは自明ではない。
勉強会に出席した教員からは、学校現場(中学校)では、「人の支配」に対する概念として「法の支配」を教えるが、その中には上記の「法治主義」的な考え方も含まれており、あえて「法治主義」という言葉は教えていないとか、「権力の行使が法律に基づいておこなわれるべき」という考え方は、行政の分野で説明しているといった意見があった。
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