著作権は、知的財産権の中では最も身近な法分野の一つである。
著作権法は、著作物の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利保護を図ることにより、文化の発展に寄与することを目的としている(法1条)。
近年では、SNSの普及やAI技術の発達により、社会生活の中でも著作権との接点が増え、著作権を理解することの重要性はますます高まっているといえる。
このような背景から、関弁連で作成した教材案の検討を行った。
参加した教員からは、著作権侵害になる事案と著作権侵害にはならない(著作物の利用が認められる)事案の区別基準を知りたいという意見が出た。
これに対して、参加した弁護士からは、著作権法自体は、著作者等の権利を保護するための規定と著作権等を制限する規定(利用者保護の規定)からなるものの、法教育という観点からは、個々の規定を理解するというよりも、著作権法の背後にある「著作者等の権利保護と公正な利用の調整」(著作権を保護し、又は制限することにより、著作者等と利用者の双方にとってどのようなメリット・デメリットがあるか)という点を理解してほしいという意見が出た。
また、別の教員からは、例えば、著作権法の個々の規定内容については家庭科等で教え、その背後にある価値判断については「対立と合意」(中学の公民)というテーマの中で教えることも可能ではないかという意見もあった。
そのほか、著作権法は取り扱う範囲が広いので、何を目的として授業をするのか(個々の規定の意味内容なのか、背後にある価値判断なのか)、検討対象として何を設定するのか(音楽なのか、イラストなのか、文章なのか)を決めておかないと議論が拡散していくという指摘もあった。
以上