裁判員裁判は、今年で15年目を迎える。
令和4年4月には裁判員に選任される年齢が20歳から18歳に引き下げられ、令和5年1月以降は実際に裁判員として裁判員裁判に参加することとなった。
これまで、中学校や高等学校で実施されてきた刑事模擬裁判は、被告人が犯人であるか否かや、犯罪の成否を検討する「否認事件(有罪/無罪)」型の事案が多く用いられてきたように思われる。
しかし、実際には、起訴された事案の約88%は、被告人が犯人であること及び犯罪の成立に争いのない、いわゆる「自白事件」である。また、有罪と判断された事案のうち、刑の全部の執行猶予を付された事案は約61%である。
このように、実際の刑事裁判においては、被告人に科すべき刑罰の重さ(量刑)を検討することが重要な問題となる。
また、近時の法改正により、令和7年6月1日以降は、自由刑のうち「懲役」刑と「禁錮」刑を廃止する一方、新たな自由刑として「拘禁刑」が創設されることとなった。
このような背景から、刑罰の目的正当化根拠に関する「応報刑論」、「目的刑論」の考え方にも触れながら、関弁連で作成した教材の検討を行った。
参加した教員からは、「量刑」という用語自体が難解であるとか、中学生で扱うには内容が難しいといった意見があった。また、「量刑相場」などの目安がない中で量刑自体を検討すること自体の難しさや、評価の難しさを挙げる意見もあった。
他方で、「量刑」だけに絞らず、複数のコマ数を使った授業構成の中で取り扱うことは可能であるという意見もあった。
以上